なでしこジャパンと対戦し、勝利した米女子サッカー代表(中央)【写真:Getty Images】

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なでしこジャパン戦、米サッカー連盟のエンブレムを隠す“裏側着用”の珍シーンが発生

 米女子サッカー代表は、現地時間11日に行われた国際親善大会シービリーブス・カップ最終戦でなでしこジャパン(日本女子代表)と対戦し、3-1と勝利した。

 この一戦前に米女子代表がユニフォームを裏側に着用して怒りの抗議をする珍しいシーンがあり、12日にカルロス・コルデイロ米サッカー連盟会長が辞任する事態に発展した。米紙「ニューヨーク・タイムズ」などが伝えている。

 昨年、選手28人が男女賃金格差を巡ってアメリカサッカー連盟を訴えたなか、今月9日に連盟側が裁判所に提出した書類で「男子選手のほうが女子選手より、米国サッカー内でより責任が重い」「女子よりも男子のほうが求められるスキルも高い」と主張して批判を浴びていた。

 そうしたなかで迎えた日本戦で、米女子代表は怒りの抗議に出た。試合前の入場時、そして国家斉唱時において、ユニフォームを裏返しで着用したのだ。裏返しの着用により米サッカー連盟のエンブレムを隠した一方、女子ワールドカップ4度の優勝で縫い付けられた胸部分の星印はそのまま確認できる形となった。勝ち取った栄冠を誇示しつつ、独自の形で抗議した形だ。

 米女子代表の行動が反響を呼んだなか、12日にコルデイロ会長が辞任。声明を発表し、「私の唯一の使命は、連盟にとって最善のことを常に行うことであり、今求められているのは新しい方向を示すことであることが明らかになりました」と記している。

会長が謝罪「弁解の余地もない」 米紙も「責任を取って辞任した」と注目

 また、コルデイロ会長は提出書類に記されていた言葉にも触れ、「今週提出された書類に含まれていた主張と文言は、優れた女子代表チームの選手たちに大きな怒りと苦痛をもたらしました。それは容認されるようなものではなく、弁解の余地もありません」と正式謝罪。そのうえで「素晴らしい女性選手たちが、常に尊厳、尊敬、称賛を受けることを願っています」と締めくくっている。

 日本戦で見せた“ユニフォーム裏側着用”の抗議は米サッカー連盟会長の辞任劇に発展。米紙「ニューヨーク・タイムズ」は「コルデイロ会長は女性蔑視的だと非難され、責任を取って辞任した」と注目を寄せ、反響が広がっている。(Football ZONE web編集部)