小売大手にかかる人員管理へのプレッシャーが高まるなか、一部の店舗従業員は、より多くの仕事を、より少ない賃金でこなすよう求められていると感じている。

独立系の従業員支援団体「ターゲット労働者連合(Target Workers Unite)」は2月10日、米・ディスカウント百貨店チェーンのターゲット(Target)の従業員に対して行ったという調査の結果を公開した。それによると、回答した労働者の過半数が、ターゲットの仕事だけでは生活できず、また会社がかつてないほど多くの業務を店舗に課すようになり、自分たちが過重労働に陥っていると感じているという。

ターゲット労働者連合の連絡担当者で、バージニア州にあるターゲット店舗のパートタイム従業員であるアダム・ライアン氏によると、同団体は2019年の3月から7月にかけ、全米44州のターゲット従業員500名を対象に調査を実施した。調査にあたっては、一部店舗に出向いて調査を告知したり、ターゲット従業員のオンライングループに質問票を共有したり、ソーシャルメディアに有料広告を流したりして回答者を集めたという。その際、回答者には店舗番号と連絡先を尋ね、現役のターゲット従業員からのみ回答を得られるようにしたと、ライアン氏は述べている。

それに対して、ターゲットの広報担当者は、「当社は毎年、数十万人に及ぶチームメンバーに調査を実施し、ターゲットで得られる賃金、手当、職務経験に満足しているとの回答を一貫して得ている」と、声明で述べている。さらにターゲットによると、同社従業員の現在の平均勤務時間は3年前より増加しており、2016年以降、店舗の人件費に10億ドル(約1100億円)以上を投じているという。

「ターゲットがチームメンバーの働きたい場所であり続けられるよう、我々は引き続きチームからのフィードバックを募り、対応していく」と、広報担当者は付け加えた。

「複雑さは過去に例をみない」

ターゲット労働者連合の独自調査に回答したのは、ターゲットの計36万人からなるパートタイム、フルタイム、および季節従業員のごく一部にすぎない。しかし彼らの声は、小売分野の従業員全般が直面する問題を反映してもいる。米DIGIDAYの姉妹サイトであるモダン・リテール(Modern Retail)が先日、月給制の小売従業員たちに話を聞いた際、雇用主が時間給従業員に残業代を支払いたがらないので、自分たちが長時間勤務を強いられているとの声が多く聞かれた。

ターゲットのような小売業者は、店舗売上を増やし続けるために、店舗の改装や、オンライン購入品の店舗受け取りなどのサービス追加により多くの費用を投じなくてはならない。だがその一方で、投資家たちを満足させるために、運営コストを常に低く抑えなくてはならない。

「小売店従業員の仕事はかつてないほど複雑化している――求められるタスクの種類や顧客とのやり取りの多様さ、複雑さは過去に例をみない」。ピュブリシス(Publicis)の最高コマース責任者を務めるジェイソン・ゴールドバーグ氏は以前、モダン・リテールにこのように語っている。

ターゲット労働者連合の意図

ターゲット労働者連合のライアン氏によると、同団体がほかの従業員を調査しようと考えたのは、ターゲットが同社従業員に対して毎年行っている「ベストチーム(Best Team)」調査の透明性に不満があったためだという。「ターゲットの実態を100%知らされていないように感じた」とライアン氏は話す。

ターゲット労働者連合は調査において、週に何時間勤務しているか、本当は時間外なのに仕事をしたことはあるかといった質問のほか、チームメンバーは生活して行けるだけの賃金を受けるに値するかといった、より誘導尋問的な質問も投げかけている。

回答者の30%近くが、ターゲット以外にもうひとつ仕事をもっていると答え、ほかにふたつ仕事を掛け持ちしているとの回答も6.2%に上った。

また半数強が、割り当てられた15分の休憩時間を「常に」取得できていると答えた一方、時間外に働いたことがあるとの回答も26%に上った。

ターゲットの「近代化」の実態

調査では、ターゲットが「近代化」と称して進めている、店舗の在庫プロセスの再構築計画をどう思うかとの質問もなされた。近代化の目的は、従業員がより多くの時間を店内での接客に費やし、たとえば美容や電子機器など、特定の売り場に専門化できるようにする一方で、バックルームの在庫をより迅速に補充できるようにすることだ。近代化の一環として、ターゲットは深夜シフトやバックルーム業務のシフトを試験店舗で一部廃止した。

「専門分野に特化するのは悪いことではない。その一方で、勤務時間が最低限以下まで削られている点を除けば」と、ある従業員は述べている。

この調査で従業員が提起した問題のいくつかを、ほかのターゲット従業員もほかのニュースメディアに対して提起している。CNNは2019年10月、ターゲットが最低賃金を時給15ドル(約1650円)に値上げすると発表して以降、勤務時間が大幅に削られ、賃上げ前と同等の収入を得るのに苦労しているという一部従業員の声を報じた。同じく10月にビジネスインサイダー(Business Insider)が報じたところでは、近代化の実施後、一部店舗でバックルームの管理が困難な状態に陥っているという。

売り上げの面では効果あり

売り上げの面では、ターゲットの計画は効果を上げている。同社はこの2年間に、既存店売上高を10%近く伸ばしており、幹部によると、新たに倉庫を増やすのでなく、実店舗を利用してオンライン注文を処理するようにしたことが、オンライン売上の成長に大きく寄与しているということだ。

ターゲット労働者連合は今回の調査結果に添えて、全従業員に医療給付を支給することや、レジ係の雇用を増やすこと、深夜の在庫業務シフトを復活させることなどを求める、10項目の計画を公開している。

「並行して、ほかのターゲット従業員にこの綱領について知らせ、ターゲット従業員として10項目に同意するか意見を聞くつもりだ」と、ライアン氏は述べている。

Anna Hensel(原文 / 訳:ガリレオ)