私たちが使っている日本語は世界の中でも似た言葉が見つからないとても珍しい言語。漢字、カタカナ、ひらがなと、3種類の文字を持っているのもおもしろいところです。日本のそもそもを見直すシリーズ、今回は日本のことばをテーマに4コマストーリーをお届けします。

4コマで「日本のことば」

関連用語

日本語(にほんご)

ウラル・アルタイ語系に属するとされ,日本列島でほぼ千数百年以上使われてきた言語。使用者数では世界で第10位以内といわれるが,使用範囲は日本列島の中に限られる。祖語を共通にする言語は見いだされず,系統的には孤立する。膠着語(こうちゃくご)である点は朝鮮,モンゴル,トルコ,南方諸地域の言語と共通する。音節が開音節で,原則的に子音1に母音1が結合する単純な構造をもつ。語は自立語(話し手の判断にかかわらず存在する内容を表す語),付属語(話し手の判断内容を表す語)からなり,両者をくみあわせることで,なにがおこったかを絶対に必要な内容とし,必要に応じて,なにがそれをもたらしたかを加え,それを中心にしてさらに語を適宜補う形で表現がなりたつ。歴史的に他の言語との接触が少なく,事態を話し手の立場からとらえる特徴がある。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

アルタイ語族(アルタイごぞく)

Altaics トルコ語,モンゴル語,トゥングース語を含むが,朝鮮語,日本語をこれに入れようとする説もある。その特徴は,(1)述語が文末にあること,(2)語幹と接辞との接合のしかたが,膠(にかわ)でつけたように両方の部分が分析できる膠着(こうちゃく)語であること,(3)同一の語のなかでは,同一系統の母音しか使われないこと(母音調和)などである。しかし音韻法則からみて,アルタイ語族が一つの語族として確立できるかどうかに疑問を抱く学者も多い。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

万葉仮名(まんようがな)

漢字を本来の字義に関係なく仮名文字のように用いたもの。平安時代以降の仮名文字の創案のもととなった。金石文(きんせきぶん)・正倉院文書や,「古事記」「日本書紀」に仮名的に使用された漢字はすべてこれに入るが,「万葉集」に多様な使用例が認められ,古くから考察の対象となったので,その名をとってよぶ。漢字の音・訓を使った仮名的な使用で,正規な漢字のあて方以外に,動詞「あり」に蟻,助動詞「つる」に鶴,助詞「かも」に鴨をあてたり,「出」を「山上復有山」とするなどの言語遊戯的(戯書とよぶ)な使い方の例もある。使用された漢字の音をたどることで,仮名文字では判断できない当時の発音を知ることができるので,研究上の利点も多い。上代特殊仮名遣いの発見なども万葉仮名を通しての所産である。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

片仮名(かたかな)

万葉仮名を手早く書くために漢字の字画を省いて書かれたものから成立した仮名。もともとは漢文訓読の際に補読すべき部分を漢文の字間に書きこんだもので,漢字の草体から成立した平仮名に対し,漢字の一部分=片をとったところに特徴がある。漢文訓読がおもに男性によってなされたために男性専用の文字として平仮名と区別し男手(おとこで)ともいわれた。成立は平安初期の学僧によるものと推定され,かつて創案者とされた吉備真備(きびのまきび)説は否定されている。片仮名の使用は仏書を中心にした漢文訓読に始まるが,説話集などの漢字仮名交り文や各種注釈書の表記に用いられて広がった。字体は書記者によってさまざまであったが,12世紀頃から統一されるようになり,現行の字体の決定は1900年(明治33)の小学校令施行規則である。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

平仮名(ひらがな)

万葉仮名の草体である草仮名を簡略化してできた仮名文字。平安初期に男性貴族や学僧の間で使われだし,さらに漢字を書くことを避けた当時の女性の間でも使われるようになり,女手(おんなで)とよばれた。発明者として空海の名前があげられた時期もあるが,現在は否定される。字体の源となる漢字が各音1字とはきまっておらず,同じ音を書き表すのに複数の字体が使われたが,現行の字体に統一決定されたのは,1900年(明治33)の小学校令施行規則である。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)