カスタマーサービスは誕生まもないeコマースビジネスにおいて、しばしば中心的な存在となる。だが、急成長中の企業で働いていると、ストレスも多い。

昨年12月、バージ(The Verge)によって暴露された、D2Cスーツケースブランドのアウェイ(Away)における、厳しい労働環境に関する記事には、カスタマーサービス担当の元社員のインタビューが引用された。こうした部署は顧客体験(Customer Experience:以下、CX)とも呼ばれる。彼らはチームの人手不足や頻繁な残業へのフラストレーションを語った。バイス(Vice)も最近、アパレルブランドのエバーレーン(Everlane)のCX担当社員たちによる労働組合の結成を報じている。同記事によれば、彼らは自分たちの待遇が他部署の社員と異なり、不当に低い報酬しか得ていないと感じているという。

匿名を条件に本音を語ってもらうDIGIDAYの「告白」シリーズ。今回はD2C(Direct to Consumer)スタートアップのCX部署で働く社員を迎え、仕事の実情について話を聞いた。なお、読みやすさと分量を考慮し、インタビューには編集を加えた。

──日々の仕事はどんな様子?

私はこの1年半CX部署で働いている。最初の約1年はアソシエイトで、それから昇進した。そのため、この期間中に仕事内容は変化している。

アソシエイトの頃の仕事は、ほとんどがメールの返信や、チャットや電話での対応だった。特定の商品についての質問から、アカウント関連の質問まで、すべての答えを知っておくことが私の仕事だった。加えて私は、CXチームの同僚たちと一緒に、顧客の視点に立って問題提起を行った。

ウェブサイトのどこかに不具合があるとき、最初に発見するのはたいていCXチームなので、フラグを立てて技術チームに知らせる。同じように、マーケティング素材に付加されたプロモーションコードに不具合があるときは、マーケティングチームに報告する。

私は、1時間につき10〜15の会話に応答して、1日に6〜7時間は顧客からの問い合わせに答えていた。

──全体として、いまの仕事にどれくらい満足している?

とても満足している。私はこの会社が好きだし、売っている商品や購入してくれるお客様を大事にしている。

この仕事では、あちこちから引っ張りだこのように感じることがよくあって、ワクワクするが不満も貯まる。いつもその時している仕事を中断して、別チームのサポートに回されてばかりのような気分になる。たとえば発送に問題があるときは、CXチームが必ず呼ばれる。顧客に通知しなくてはならないからだ。

すべての商品情報を網羅した内部マニュアルがあればといつも思う。顧客の問い合わせがあったとき、できるだけ豊富な情報に基づいて対応できれば、有能なチームでいられるからだ。けれども、絶えず何かが変更になるので、マニュアルづくりは先延ばしされがちだ。準備万端よりも臨機応変さが重要だ。

CX部署で働いた経験のない人には、この仕事をもっと科学的にできると言っても、あまりわかってもらえない。チャットプラットフォームやeメールの転送システムといった新機能を実装するとき、最適化の選択肢はたくさんある。けれども、こうした機能の改善にかけられる時間はあまりない。

──CXに関するよくある誤解には、ほかにどんなものが?

CXはコールセンターではない。スタートアップでは、CXチームははるかに専門的な仕事をしていて、明確な目標がある。けれども、CX業務の経験のない人はたいてい、我々の仕事はカスタマーサービスで、1日中パスワードの再設定をしているのだろうと思い込んでいる。仕事を評価してもらえていないことに不満があるのは確かだ。

CXは一種の総称で、必ずしもどこでも同じ仕事を指すわけではない。そのため仕事の対価が妥当かどうかを知るのは難しい。私個人としては、待遇には満足していない。いまの年収は5万ドル(約550万円)を切っているし、最初は4万ドル(約440万円)くらいからのスタートだった。

スタートアップの給料が安いのはCX部署に限った話ではない。けれども、CX部署は特にそういった扱いを受けがちだ。サポート機能を担っているため、会社にどれだけ莫大な価値をもたらしているかを、なかなか主張できないからだ。

──どれくらいCX部署での仕事を続ける予定? キャリアを通じてこの仕事一筋でいたい?

顧客と向き合うのは本当に大好きだ。でも、私の肩書きに「顧客体験」がつくのは、せいぜいあと1年だと思う。

私はカスタマーインサイトや、インサイトアナリストといったほかの役職を探しはじめている。コミュニティマネジメントやカスタマーサクセスにも興味がある。CXに似ているが、より顧客管理の要素が強い役職だ。CX担当者にとって大きな課題は、やるべきことは多いのに、次のキャリアパスが明確ではないことだ。経験を別の仕事に活かせるものにどう置き換えていくか、自分で答えを見つけるしかない。

Anna Hensel(原文 / 訳:ガリレオ)