広告主らは自社広告がFacebookのオーディエンスネットワーク(Audience Network)とインストリーム広告内のどこに掲出されるのかについて、透明性もなければ、管理もできないことに以前から不満を漏らしてきた。一方で、先頃Facebookが試験的に導入をはじめた新機能に対しては、慎重ながらも楽観的な見方をしている広告主もいる――その新機能とは、パブリッシャーホワイトリストだ。

2019年11月、Facebookはオーディエンスネットワークとインストリーム広告にパブリッシャーホワイトリストを試験的に導入し、2020年にはリストをさらに拡大する計画がある旨を認めた。これにより、広告主はFacebookが広告のターゲティングに使う特定の言葉やサイトURLを確認できる。Facebookは2017年以来、ブロックリストを導入しているが、ホワイトリストはこれまで提供していなかった。

ホワイトリストはパブリッシャーにとって厄介な存在と見られることも少なくないが、広告主にとっては、有用なツールになりうる。2019年1月、米DIGIDAYの取材に応え、多くのバイヤーはFacebookのオーディエンスネットワークの利用を控えている理由として、パブリッシャーホワイトリストなど、ブランドセーフティ機能の欠如を挙げている。

「いまのところ順調に進んでいる」と、世界最大級の広告代理店グループで、Facebookの今回の試験版に参加しているグループ・エム(GroupM)のソーシャル部門グローバルヘッド、キーリー・テイラー氏は語る。「ホワイトリストによるセキュリティソリューションの導入は、以前からFacebookに訴えかけていた。彼らのプラットフォームでそれが機能する様子を理解できるようになったことは、素晴らしい」。

在庫の大半はアプリ内モバイル

ただし、Facebookのオーディエンスネットワークのインベントリーの大半は、アプリ内モバイルである一方、セーフティおよびビジビリティツールの多くは、クローリング/スクレイピングがより容易なデスクトップインベントリーに基づいて構築されていると、テイラー氏は指摘する。

「アプリ内にある場合、ブランドスータビリティの確認や、その効果検証、カタログ化、解釈は少々厄介となる」とテイラー氏。「アプリ内で目にできないものは、我々のホワイトリストには入れていなかった。我々としては、規模と安全性のバランスをより詳しく理解できるようになることを希望する」。

同ネットワークには、多くのマネタイゼーションパートナーが随時追加されているため、広告主が選んだ者だけ追加するというFacebookの決断は、少なくとも試験段階においては、良いデフォルトだとテイラー氏は指摘する。

「願わくは、サードパーティが介在する状態か、新たに追加されたマネタイゼーションパートナーが誰なのかを定期的かつ頻繁にチェックでき、いまよりも多少手間の要らない形でそれらをホワイトリストに追加できる状態になることが望ましい」と、テイラー氏は語る。

サードパーティ測定を求める声

一方、ホワイトリストよりもインベントリーをリアルタイムで分析できるサードパーティ測定を求める広告バイヤーもいる。

「ホワイトリストやブラックリストによるソリューションの選択は、自らを制限し、最悪のソリューションを受け入れることを意味する。サイトを丸々完全にブロックすることは、コンテンツは常にアップデートされているという事実の否定にほかならない。ウェブページやアプリのコンテンツがまったく変わらないサイトがあるとは思えない」。

ホワイトリストは保守的な広告主には好まれるかもしれないが、Facebookのようなプラットフォームに求められるのは、より高度なコントロール、そしてより多くのサードパーティ認証の導入だと、このバイヤーは指摘する。

Facebookは現在、ゼファー(Zefr)、ダブルヴェリファイ(DoubleVerify)、インテグラル・アド・サイエンス(Integral Ad Science)、オープンスレイト(OpenSlate)の4社とブランドセーフティパートナー契約を結んでいる。

「正しい方向に向けた一歩」

グローバルブランドパフォーマンスエージェンシー、フォワードPMX(ForwardPMX)のEMEA地域におけるプログラマティックおよびペイドソーシャルのトップ、チャーリー・ハンター・シャイフ氏によれば、同社はブランドセーフティに対する懸念を理由に、オーディエンスネットワークを避けている。ただし、Facebookの今回の試験にはいまだ不参加ではあるものの、ホワイトリストというオプションが登場する可能性自体については、「たいへん魅力的な前進だ」と、氏も評価する。

オーディエンスに基づくパブリッシャーの分類機能も、Facebookに今後、ホワイトリストへの付加を期待するひとつだと、ハンター・シャイフ氏は語る。「そうすれば、パブリッシャーが広告主のためにオーディエンスを構築しているように、譲渡可能なオーディエンスリストを作成できる」。

米DIGIDAYが話を聞いたバイヤーは、概してホワイトリストを歓迎しており、Facebookがより高度なブランドセーフティコントロールに向けて前進している点は認めている。ただし、できることはまだあるはずだとも指摘しており、次の希望として、インフィードの近接コンテンツ、つまり誰かのパーソナライズドFacebookフィードのなかで自社広告とともに表示されているコンテンツを知る機能を挙げた。彼らはさらに、ブランドセーフティ基準に合わないと判明した場合、入札を自動で回避できる機能も期待している。

「個人的には、ブランドセーフティ問題は今後も完全に解決されることはないと見ている」と、テイラー氏。「とはいえ、これらが正しい方向に向けた一歩であることは間違いない」。

Deanna Ting(原文 / 訳:SI Japan)