ミャンマー戦に起用されれば、日本代表史上最年少での出場となる久保。写真:徳原隆元

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 オランダ・フェンロでコーチとして活躍したのち、本場・イングランドのリーズ・ユナイテッドの強化スタッフ入り。現役引退後は欧州クラブの監督を目指し、活躍の場を海外に移した藤田俊哉氏は、長年培った海外でのキャリアを活かすべく、昨年9月から「欧州駐在強化部会員」という日本協会の新ポストに就任した。“世界の目”を持つ日本代表のキーマンに直撃する連載インタビュー。今回は「ワールドカップ2次予選」から話を伺った。

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――先日、カタール・ワールドカップ2次予選のミャンマー戦に向けた日本代表メンバーが発表されました。
「ミャンマー戦は、次のワールドカップに向けた第一歩となる試合。森保監督が話していた通り、今回は現状のベストメンバーで臨むことになった。対戦相手のレベルはどうであれ、ワールドカップ初戦を迎えるにあたり、チーム戦術を理解している選手たちのなかで、ベストなメンバーを選んだ。今回の発表には、森保監督の信念が表われていると感じる」
 
――日本は、キルギス、タジキスタン、モンゴル、ミャンマーと同じグループに入りましたが、どのような印象でしょうか。
「日本の実力を考えれば全勝して当然となる。その内容も圧倒して勝ち抜いていきたい。第2ポッドに入っていたイラク、ウズベキスタン、シリアといった難敵を回避できたことも大きい。決して楽観視しているわけではないけれど、楽なグループに入ったなという印象だ」
 
――今回の2次予選は、東京五輪世代を中心に戦うべきではないか、という意見もありました。
「もちろん、そうした意見もある。東京五輪は日本サッカー界にとって特別なイベント。それが1年を切っているわけだから、コパ・アメリカのように“五輪代表強化”の舞台がこれからも必要だ。だからこそ、今回も同時期にU-22代表チームは北中米遠征を行なう。今後もアウェー遠征を行なうわけだが、東京五輪世代中心の強化とA代表の強化を同時に行なう難しさは、今後も続いていく。ただし、大きなグループの強化と考えて準備していけば、五輪後のA代表のさらなる強化にもつながる。集まれる機会が限られるなかで、どのように2つのチームの強化を図っていくか。これからも積極的に議論を重ねていく必要がある」
 
――東京五輪世代組に話を移すと、今夏には多くの選手が欧州クラブへ移籍しました。
「今夏の移籍で、最も注目を集めたのはレアル・マドリーに移籍した久保建英だろう。その後、レアル・マドリーからマジョルカにレンタルされたわけだけど、スペイン1部リーグのクラブでのプレーは、彼にとって良い舞台なのではないかな。そのままレアル・マドリーのBチームでのプレーとなれば、スペイン3部リーグが主戦場になるわけだから、彼が決断したローン移籍も理解できる。いかにプレー機会を掴めるかが今後の鍵になる」
 
――その他の選手はいかがでしょうか。
「冨安健洋、中島翔哉、そして堂安律の3人は、ステップアップを果たしたと言える移籍だろうね。シント=トロイデンからボローニャへ移籍した冨安は、ディフェンダーの選手として、守備の文化を持つイタリアのリーグを選んだのはとても良かった。中島はポルトガルの名門クラブであるポルトのエースナンバー10番を背負うことになった。堂安はオランダの2強の一角、PSVへと移籍した。堂安が移籍した際、オランダ国内では多くのメディアで取り上げられていたよ。あのPSVが違約金10億円近くを払ってまで獲得した選手なんだから価値がある。トップレベルの代表クラスが揃うPSVでのレギュラー争いは熾烈極まるだろうが、それを勝ち抜いていけたら、おそらくPSVからマンチェスター・ユナイテッドへ移籍したパク・チソンのようになれるだろう」
 
――現在、ヨーロッパはシーズンが始まったばかり。各選手が新天地でまだ立場を確立していないからこそ、今回の2次予選は国内組中心のメンバーで戦うのも、有りではないかと予測していました。
「先ほども言ったように、こうした議論は必ず出てくる。新戦力を試せるチャンスとも言えるわけだから。メッシやクリスチアーノ・ロナウドのようなスーパースターでないかぎり、選手は所属クラブでも、代表チームでも激しいレギュラー争いを勝ち抜かなければならない。ドルトムントやマンチェスター・ユナイテッドでプレーした香川真司もスペインで新たな刺激を受けながら挑戦している。好スタートを切った柴崎岳もシーズンを通しての出場機会が重要になる」
 
――東京五輪を1年後に控えるなか、とくにA代表チームと五輪代表チームの主力として期待されている冨安、中島、堂安、久保の4人には、新天地でのさらなる活躍が期待されるところです。
「もちろん、彼ら以外の選手全員に期待している。東京五輪チームに限った話で言えば、上田綺世の成長にも期待している。今夏に法政大サッカー部を退部して鹿島アントラーズに入団した移籍組のひとり。彼は先のコパ・アメリカでノーゴールに終わったが、次世代のストライカーになれるだけの可能性は十分にあるし、そうなってもらわないと困る。コパ・アメリカでは、世界のメディアがこぞってゴールチャンスを外した上田に痛烈な批判を浴びせた。決めても外しても、騒がれるのがストライカーという職業。やっぱりストライカーというのはそれほど重要なポジションだ。でも、いつも言っていることだと思うけれど、このテーマは、日本代表だけの問題じゃない。世界中が決定力不足。だからストライカーの価値は高いし、クラブは彼らにたくさんのお金を払う。そうした選手に上田もなってくれることを願っている」

■プロフィール■
藤田俊哉(ふじた・としや)/1971年10月4日生まれ、静岡県出身。清水市商高−筑波大−磐田−ユトレヒト(オランダ)−磐田−名古屋−熊本−千葉。日本代表24試合・3得点。J1通算419試合・100得点。J2通算79試合・6得点。J1では、ミッドフィルダーとして初めて通算100ゴールを叩き出した。2014年からオランダVVVフェンロのコーチとして指導にあたり、16-17シーズンのリーグ優勝と1部復帰に導いた。17-18シーズンからはイングランドのリーズ・ユナイテッドでスタッフ入り。昨年9月に日本協会の“欧州駐在強化部員”という新ポストに就任し、代表チームの強化にあたっている。

取材・構成●小須田泰二(フリーライター)