店舗側の負担が少なく、決済だけでなく、送金や割り勘機能など、クレジットカードにはなかった機能もある。客が自分のスマホにコードを表示し、店舗側の端末で読み取る方式と、店頭に掲示されているコードを客側が読み取るタイプの大きく二つに分かれるが、すでにネット関連企業はこうした決済手段を通じて顧客を囲い込み、自社の「経済圏」を確立しようと、機能やサービスで競い合う。

 こうした動きに呼応して、利用割引やポイント還元、決済にかかる時間の短縮など、すでにキャッシュレス決済のメリットを享受する層が広がり始めている一方で、世界的に見ると日本のキャッシュレス化はまだまだ進展していないのが実情だ。

韓国9割、日本は2割
 最も普及が進む韓国のキャッシュレス決済比率はすでに9割に達するほか、その他の先進国でも4割から8割に上るのに対し、日本は2割にとどまっており、世界的にも珍しい現金主義の国といえる。

 治安が良く、紙幣も比較的清潔で偽札も少ないことから現金に対する信認が高く、ATMなどの金融インフラも十分整備されているといった、日本の「良さ」ゆえに消費者が必要性を感じてこなかったことが背景のひとつと見られている。

 個人情報の流出に対する不安や節約のためあえてカードを使わない人もいる。規模の小さな小売店ではクレジットカード決済に伴う初期費用や手数料負担から二の足を踏むといった実情もある。

 他方、世界の潮流はキャッシュレス化だ。中でも中国は、アリババグループの「アリペイ」やメッセンジャーアプリのウィーチャットを運営するテンセントの「ウィーチャットペイ」をはじめスマホ決済の店舗導入が爆発的に進み、露天飲食から高級品まであらゆる決済がスマートフォンが主流。決済インフラの域を超え、もはや生活アプリとなっている。

 そんな環境に慣れ親しんだ中国人消費者を取り込むうえでいまや不可欠なアリペイをめぐっては、日本でも2015年以降、中国人向けサービスとして導入され、コンビニエンスストアや百貨店、ドラッグストアなど約5万店規模が導入している。

 普及を後押しするのは中国人観光客需要を何とか取り込みたいという店舗側の切実な思いだ。現時点で、アリペイを利用するには中国で銀行口座を開設する必要があるが、訪日中国人観光客用ではなく日本人が日本国内で利用できるサービスになれば、海外の巨大資本に消費者情報を奪われかねないと戦々恐々とする向きもある。