「ルノー・FCA」誕生で、連合関係見直し?厳しい選択を迫られる日産
ルノー・FCAの組み合わせで特徴的なのは主力地域や車種ラインアップで重複が少ない点だ。ルノーは欧州、ロシアを主力地域とするのに対し、FCAは北米や南米で強い。車種はルノーが中小型車を中心とする一方、FCAはスポーツ多目的車(SUV)やピックアップトラック、高級車で存在感を発揮する。ルノーは電気自動車(EV)、FCAは自動運転と先進分野で注力ポイントが異なる点も見逃せない。
乗用車とピックアップトラックでは部品仕様が異なり共通化は望めないなど難点もある。だが地域、車種、先進分野で相互補完しながら、両社で約870万台に達する販売規模を生かし調達などでシナジーを発揮できる潜在性はある。「悪くない組み合わせ」とみる業界関係者は多い。
ただ統合効果を最大化する上で「パズルのピースが欠けている」と遠藤功治SBI証券企業調査部長は指摘する。最後のピースと期待されるのが日産と三菱自だ。地域展開では日産が強い中国、三菱自が存在感を示す東南アジアもカバーできるようになる。EVやプラグインハイブリッド車(PHV)など電動技術にも厚みが出る。
FCAがルノーに示した統合案の枠組みには日産、三菱自は含まれないが、FCAは両社とも「連携していく」との考えを示した。ルノーのジャンドミニク・スナール会長も「企業連合の枠組みで実現する必要がある」と関与を求める。日産幹部は「FCAは日産や三菱自の技術がほしいのだろう」と推測する。
日産、独立・対等こだわる
29日、来日したルノーのスナール会長とティエリー・ボロレ最高経営責任者(CEO)が日産の西川広人社長兼CEO、三菱自の益子修会長兼CEOらに1時間40分ほどFCAとの統合について説明した。ルノーとFCAの統合が実現すれば、4社の販売は1500万台を超え世界トップに躍り出る。
西川社長は「連合の間口が広がるのは非常にポジティブ。日産の利益につながるか細かくみていきたい」と前向きに評価した。「電動化など自動車業界が変革期にある中、戦える集団になる」(日産幹部)との声も上がる。
益子会長は「当社が積極的に関わっていくかは検討を要する」と慎重姿勢もみせるが、ルノーとFCAの統合に日産・三菱自が関与していく方向にあることは間違いない。焦点はそれがどのような形になるか。選択肢は大きく(1)従来関係を維持(2)連合解消(3)統合参加―の三つがある。
日産はルノーと互いに独立性を尊重し対等な関係でシナジー創出を図ることを基本理念にしており、従来の連合関係を維持したい意向だ。三菱自も同様で、益子会長は「統合に参加することはないだろう」と話す。
一方、ルノーは2018年初から仏政府の意向もくみ、日産会長を兼務していたカルロス・ゴーン被告が主導し日産との経営統合を目指してきた。ルノーでゴーン被告の後任のスナール会長はその考えを引き継ぎ、4月には西川社長に経営統合を提案した。
