政府が本腰!「アバターロボット」で働ける未来がやってくる

写真拡大

 政府は深刻な人手不足など経営環境の変化を踏まえ、新しいロボット政策を立案する。多様な働き方に対応するため、遠隔操作が可能なアバター(分身)ロボットの社会実装(社会的課題の解決)を促す政策を検討するなど、五つの論点で有識者が議論する。中国や欧州では産業育成が進み、起業や産学連携が活発化している。政府は社会変革に応じた政策を設計して国際競争力の強化を後押しする。今夏の成長戦略への反映を目指す。

 政府はこのほど、ロボットメーカーの技術者や学者ら有識者で構成する会議を立ち上げた。経済産業省が事務局を担い、内閣府や文部科学省、厚生労働省が参画する。社会の変革に対応する政策案を6月にもまとめ、2020年度予算概算要求案に盛り込む考えだ。

 日本は人手不足に加えて多様な働き方も広がり、ロボットへの新しいニーズが生まれている。またロボットの利活用や産業競争力の強化を促すには、革新技術の進展に伴うビジネスモデルの変化や、大学発ベンチャーなど担い手の多様化といった視点も求められる。

 有識者会議では、多様な働き方に応じるため、アバターロボットなど新たなロボットの普及に必要な取り組みを検討する。また革新技術を適用するための政策や、ロボットシステム構築事業者(SIer)など新たなプレーヤーの育成策を議論する。このほかエコシステム(生態系)の形成や、中長期的な視点での人材育成・研究開発を話し合う。

 日本はロボット生産で世界首位を保ち、自動車産業への導入が目立つ。一方、中国では急速に導入台数が拡大し、人材育成などの政策が結実する。

 欧州でもベンチャーの台頭やエコシステムの形成が起き、クラスター化している。日本が中長期にわたり、世界をリードし続けるための政策が急務になっている。