宇宙ベンチャーの旗手が語る、宇宙業界を変える民間の力

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 米国のアポロ計画をはじめ、宇宙や月への夢は技術や社会を進歩させてきた。次は民間企業による宇宙開発が本格化する。日本で月面開発のビジネス化に取り組むispaceの袴田武史最高経営責任者(CEO)に、未知の世界に経営者として挑む思いを聞いた。

宇宙に必要な“企業を支える人”
 -宇宙の道に進んだのは、映画「スター・ウォーズ」への憧れが始まりだったとお聞きしました。
 「最初は単純で、映画に憧れ、かっこいい宇宙船を造りたいと思った。そういった宇宙船が飛び交うには、人間が宇宙に住まなくてはいけない。一方、広い視点で見ると、人口増加が進めば、地球環境の資源だけでは足りなくなる。月のように、新しいシステムにアクセスできなければ、将来、人間の発展性がなくなるのと思う」

 「ただ、技術者だけでは宇宙船を造れない。私はシステム全体として物事を見る傾向があり、そこに必要なものを考える。米大学院で民間の宇宙開発が花開く瞬間に立ち会った時、周囲は技術者ばかりで、事業資金や経営する人材などが必要だと感じた。宇宙船を“造れる環境”をつくろうと強く思い、経営の道に進んだ。今後、宇宙のビジネス化に向けて、経営や経理、人事など、さらに多くの“企業を支える人”が必要になる」

宇宙業界は大変革へ
 -『2040年に月に1000人が住み、年1万人が訪れる』というビジョンを掲げています。可能性をどのようにみていますか。
 「(生命維持の装備が必要な)南極に常時2000人いることを考えれば、月も可能性は高い。20年代には米中が月へ人を送り始める。月周回軌道上の宇宙ステーションが実現すれば、月へ行くインフラができる。トヨタ自動車が宇宙探査への参画を表明したほか、米政府は月面探査に向けて非常に意欲的なメッセージを発信している。宇宙業界はこれから大変革が起きる。今がターニングポイントだ」

 -ispaceは事業をどう進めますか。
 「20年の月周回、21年の月面着陸のミッションに向け、準備を進めている。探査と並行し、月への物資輸送サービスや、探査時に取得したデータを活用して月面シミュレーション環境を提供する。現在進めているプロジェクトでは、JALや日本特殊陶業、三井住友海上火災保険にパートナーになってもらっている。直近の期間では、パートナーに支援をしてもらいながら、これまで宇宙に関わっていなかった多くの企業が宇宙に取り組めるようにしたい。必要な技術だけでなく、宇宙や月への旅行、月面の開発、それに伴う保険など、宇宙に必要な仕事は増えてくる」