かつて「オッサンセダン」の代名詞だったモデルも大変身

 イイ男、デキる男が乗るクルマといえば、そりゃもうセダンに決まってるでしょ。という時代は高度経済成長期の終焉とともに消え去り……。今やすっかり、SUVがトレンドの時代です。軽自動車もミニバンも増えに増えたため、一時期は主要メーカーがラインアップするセダンのモデル数も極端に減ってしまいましたね。

 でも、少し前から徐々に、新世代に生まれ変わったセダン、イマドキセダンが復活の兆しを見せています。子育て期にはミニバンに移ったけど、子どもも成長したし、またセダンに戻ろうかな、という子離れ世代はもちろん、免許取り立ての若い世代から子どもを持たない夫婦2人世帯にも、再びセダンが新鮮に写っている模様。それに、ネコもシャクシもSUVをモテはやしている風潮に拒絶反応を起こした人たちもいることでしょう。

 そこで今回は、誰が乗っても「えっ、おっさんぽい!」とはならない、今どきの新世代セダンをご紹介します。

1)トヨタ・クラウン

 まずは、このクルマがそもそも「セダン=おっさん」というイメージを定着させてしまった感もあるんですが、じつは2018年に大変身を遂げ、私の周囲の20代男女がこぞって「カッコいい! 欲しい!」と羨望の眼差しを向けているトヨタ・クラウンです。

 デザインを見るとハッキリわかりますが、かなり全体的なシルエットからして、スタイリッシュになりました。タクシーに使うという理由で不自然に高くしていたリヤシートの天井とか、水戸黄門の印籠ばりに仰々しく着いていたエンブレムとか、シャツをインしちゃってるおっさんぽくダサさを引き立ててしまっていた要素は、最新クラウンにはまったくありません。

 それに走りのほうも、世界一過酷と言われるニュルブルクリンクサーキットで走り込み、鍛え抜いたということもあって、乗っていてとても気持ちのいいものに仕上がっています。そして若い世代にとくに刺さっているのが、ボタン一つでいつでもオペレーターに通じたり、スマホでクルマと会話できたり、万一の時にも自動で救急車や警察の手配をしてくれたりといった、繋がる技術「コネクティッド」の搭載です。もう、すべてが今までのクラウンとは別物。これなら誰が乗っても今どきセダンを堪能できますよ。

2)マツダ・アテンザ

 続いて、2012年に大変身を遂げて登場し、デザインで世界中から賞賛を浴びた元祖セクシーセダンとも言えるのが、マツダ・アテンザです。

 切れ長の目、美しく伸びたルーフライン、艶やかなボディカラーと、これはもう美術品といっても良いほどのカッコ良さ。2018年に大幅なマイナーチェンジを受けて、その内外装はさらに上質になりました。

 ガソリンとディーゼルが選べますが、どちらも素晴らしい乗り味。ガソリンエンジンでは、必要に応じて4気筒のうち2気筒を休ませる「気筒休止システム」が搭載されて、さらに効率よく走ることができます。でも運転していて切り替わったことがわからないくらい、スムースなのが魅力ですね。アテンザは、見た目も乗り心地も女性ウケがいいセダンです。

若々しさだけじゃなくインテリ感を演出できるセダンも

3)ホンダ・インサイト

 お次は続々とハイブリッドセダンを日本にも導入しているホンダから、最新モデルのインサイト。

 昔からホンダは、脂ぎった感じがしない若々しいセダンをつくるのが上手なメーカーですが、インサイトはそれに加えて上品さ、賢さまで感じさせるセダンです。

 ハイブリッド専用モデルで、モーターのみの走行もできるEVモードがあるので、発進はもちろん市街地や高速道路を走っていても、状況に合わせて頻繁に切り替わり、どんな時も滑らかで静かで気持ちのいい走り。なんとなく、エンジン音がうるさいセダンって「古臭い=おっさんぽい」となりがちですが、インサイトなら近未来のドライブが味わえて、若い世代もきっと新鮮に感じてくれることでしょう。

4)プジョー508

 そして輸入車からもチョイスしてみると、多くのおっさんたちの手垢がついた感のあるCクラスや3シリーズなど定番セダンではなく、プジョー508がイチオシです。

 厳密に言えば、完全なるセダンタイプではなくファストバックスタイル(トランクではなくリアゲート)になるのですが、プジョーのフラッグシップセダンとして日本導入されています。価格も日本車勢とさほど変わらない、400万円台に抑えてあるのが嬉しいですよね。

 またデザインは、光るとライオンの牙のように見えるフロントのライトとか、3Dの立体的なリアコンビランプなどが新鮮で、これまでのどのセダンとも似ていない個性にシビレること間違いなし。

 シートに座ってみれば、背もたれがモニョモニョ動くので「?」と思っていると、いろんなマッサージ機能がついているではないですか。これって、ドイツ車だと1000万円級のセダンについているものですから、かなりお得です。走りの方も、高速カーブをしなやかに駆け抜けてくれる爽快感があって、若々しさ全開。個性的なセダンをお探しなら、508でキマリでしょう。

5)ミツオカ・リューギ

 さぁ、最後はちょっと変り種を1台。現代のクルマをベースに、数々のクラシックなカスタムカーを造っているミツオカから、まるで小さなロールスロイスのようなリューギです。これは若い世代だからこそ、とても新鮮に映るセダンではないでしょうか。

 ベースとなっているのは、トヨタのカローラアクシオ。その前後のデザインをミツオカらしいエレガントなクラシックスタイルに改造し、丸目のヘッドランプや縦型のグリルが英国風のイメージとなっています。

 ガソリンモデルだけでなくハイブリッドもラインアップしているし、全長がベース車よりやや大きいものの、今どき希少な5ナンバーサイズで、市街地での取り回しも抜群なのが嬉しいですよね。価格だって240万円台からと、手が届きやすくなっています。

 というわけで、元祖おっさんセダンを返上して生まれ変わったクラウンから、あえてクラシカルなデザインをカジュアルに乗りたいビュートまでチョイスしてみました。まぁでも、最終的にはオーナーのファッションや立ち居振る舞い次第で、おっさんぽくなってしまうか否かはけっこう変わってくると思うのですが(笑)。ぜひクルマに負けないよう、若々しい気持ちで乗って欲しいと思います。