ロボット研究の最高峰、ヒト型のハードルが下がってきた
ヒューマノイドはロボ研究の中で最高峰といわれる。30―40個の駆動部を動かし、同時に姿勢バランスを保つには高度な制御技術が必要だ。転倒すると高価な特注部品が壊れるなど、ハードとソフトの両面でさまざまなハードルがあり、ヒューマノイドの研究者は限られていた。
産総研は重作業向けヒューマノイド「HRP―5P」を開発した。10キログラム以上の石こうボードを抱え上げ、施工作業を自動化する。産総研の河井良浩知能システム研究部門長は「ヒューマノイドの制御ソフトなどの基盤技術は幅広いロボに使える」という。実際に産業用ロボの動作教示への応用が進む。
また、WRSの競技「トンネル事故災害対応・復旧チャレンジ」では、産総研の制御基盤ソフトが4脚ロボ「WAREC(ワレック)」に応用された。WARECは4本の脚が腕にもなる。脚1本ごとに7カ所の駆動部があり非常に多彩な動きが可能だ。ただ制御が難しい。WARECでWRSに参戦したMIDアカデミックプロモーションズ(千葉市稲毛区)の松坂要佐社長は「本来、1人で操縦するのは不可能。産総研の制御基盤のおかげで、どうにか操縦できる」と苦笑いする。
1人運用に加え、その場でプログラムを書いて動作を実装した。2本の腕でがれきを挟み、3本目で地面を蹴って、がれきを退かすといった即興コーディングを実現した。
松坂社長は今後のヒューマノイドなどのロボ研究について、「制御は難しくてもポテンシャルの高いロボが開発されていく。災害現場に1人プログラマーがいるだけで、これまで不可能と思われてきた仕事ができるようになる」と強調する。
(文=小寺貴之)
