浮気された挙句46回も刺された妻、それでも夫を許すと発言(画像は『Mirror 2018年11月2日付「Cheating husband jailed for stabbing wife 46 times - but she still wants family with him」』のスクリーンショット)

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夫に不貞を働かれ結婚の誓いを著しく裏切られただけでなく、瀕死の傷を負わされた妻。しかし法廷で、妻は夫を許し今後も人生を共にしていくと発言。21歳の妻を少なくとも46回刺した25歳夫には、20年の実刑判決が下された。『Mirror』『The Sun』などが伝えた。

英ケント州ヘックステーブルで今年1月11日に壮絶な事件が起こった。シャノン・バーナードさん(21歳)は、若くして結婚した夫マイケル(25歳)に内臓を含む胸や腹、四肢などを少なくとも46回刺されるという重傷を負った。

事件の2週間ほど前、シャノンさんはマイケルが不貞をしていたことを知った。この日、具合が悪く先に休んだシャノンさんだったが、マイケルは酒に酔い、“ヒッピークラック”などで知られる合法ドラッグの亜酸化窒素を吸引して、別の女性と性的行為に及んだ。実はこの行為は後に女性により「レイプだった」と非難を受けたが、マイケルは「あくまでも合意だった」と主張。シャノンさんとしては、いずれにしても夫の不貞を認めざるを得ない立場になった。しかしやはりこのことが原因で、夫婦の仲は険悪になり何日も口論が絶えず、次第に緊迫した不安定な状況になり、不貞を告白してから夫の性格が変わってしまったように感じていたシャノンさんは、怯えながら暮らしていたようだ。

1月11日の朝7時頃、ソファで寝ていたシャノンさんが目覚めキッチンに行くと、電話で父親と話していたマイケルがシャノンさんに通話中の電話を渡し、突然襲いかかってきた。A4サイズの長さの肉切り包丁を持ったマイケルに腹部を刺されたシャノンさんは叫び声をあげるも、再び刺され床に倒れた。マイケルは仰向けになって悶えるシャノンさんの体に膝をついて馬乗りになり、更に無言で刺し続けた。「止めて。父に電話をしたい」とかろうじて発したシャノンさんの言葉に、マイケルは一言「ダメだ。お前は死ぬんだ」と答えたという。電話の向こうでとんでもないことが起こっていることに気付いたマイケルの両親とおじはすぐにマイケルとシャノンさんの家に駆けつけ、凄惨な光景を目の当たりにした。

シャノンさんは四肢と体に少なくとも46か所の刺し傷を負った。肺と胸だけで14か所、腹部に10か所、そして4つの刺し傷は内臓を貫通しており、肺は虚脱状態になっていた。しかしシャノンさんは医師も驚くほど奇跡的に一命を取りとめ、17日間の入院だけで済んだが、傷あとが深く今後は複数の皮膚移植が必要とされている。後に警察に「1回1回、刺された感覚を思い出す。激しい攻撃に遭い、死ぬかと思った」と語ったシャノンさんは、11月2日に行われたメードストーン刑事法院での裁判に参加。傍聴席でマイケルの家族と一緒に座り、判決に耳を傾けた。なお、シャノンさんの家族は離れた席に座っていたそうだ。

法廷では、陪審員の協議によりマイケルの女性への性的暴行は不起訴になったが、シャノンさんへの殺人未遂について、フィリップ・スタットマン判事は20年の実刑判決を下した。マイケルを検査した精神科医によると、事件当時マイケルは女性への性的暴行容疑がかけられたこともあり、過度の不安や被害妄想、感情的思考及び攻撃的な感情の爆発を引き起こす一時的な適応障害を患っていたようだ。現在は治療中であり「今後このような精神障害に陥る可能性は低い」と精神科医は話しているという。

マイケルの弁護人デイヴィッド・テイラー氏は判事に「被告は妻へしたことを深く反省しており、謝罪とともにまだ妻を愛しているとも口にしている」と述べ、法廷では判事に懲役期間を10年未満にするよう要請した。更に「被告には刑期を終えるまで待ってくれる妻がおり、一緒に将来を過ごしていきたいと思っている。被害者の怪我は深刻ではあったが、本人がこれからも一緒にと考えているのであれば、我々はそうさせてやるべきだ」と訴えた。瀕死の重傷を負わされたにもかかわらず、夫を許すかとテイラー弁護士から尋ねられたシャノンさんは、「もちろん夫を許します。私たちは互いに必要な存在です。彼の釈放を待って、将来は一緒に家庭を築いていきたい」とはっきり答えた。これまでも拘留されているマイケルにできるだけ頻繁に会いに行っていたシャノンさんは、今後も週に2回は刑務所を訪問したいとも話した。しかし判事は、このようにマイケルを糾弾した。