次のロボット開発を担う世代が日本で競う、WRS開幕目前!
「たった一カ月で簡単な画像認識や表情認識が動くようになったことは驚いた」と振り返る。画像や表情の認識は大学で研究するようなテーマだ。現在も認識率を向上させる研究が進んでいる。ペッパーではこうした機能がモジュール化され、中高生でも頑張れば使うことはできるようになった。電卓が普及した社会で算数を教えるように、いま過渡期にある認識処理も教育と活用の議論が必要になるかもしれない。
「画像認識を習得した生徒たちを褒め、彼らの自信になったと思う。ただWRSはそれらを組み合わせて、よりハードな課題になっている。実現できればすごいことだが、大丈夫かな」と宮内教諭は気が気でない様子だ。
ジュニア部門のスクールロボットチャレンジでは、ソフトバンクのペッパーを標準機(プラットフォーム)として提供し、四つの指定課題と自由なオープンデモを競う。タスク1は人との会話だ。近づいて話しかけてきた人に対して、ペッパーは言葉を交わし、最後に何かを探すように頼まれる。この探し物を別の専門家に引き継ぐ。人物や音声の認識、対話が求められる。
タスク2では人の少し深い認識だ。相手の感情や挙げている手、シャツの色を認識し、様子を説明する。タスク3は文字認識と単語の発話。タスク4ではパネルやボールを認識して、そこに移動する。いずれもロボットに求められる基本機能であり、大学などでの研究テーマでもある。
竹園高校の生徒は「色の識別をどうしよう。カメラのRGBデータはどこから触れるのか」と技術マニュアルを読み返す。相模女子大中学部の1年生3人のチーム「バニラ」は、初日は難しそうなタスク2を後回しにした。まずタスク1と3、4から分担して開発している。タスク3の文字認識と単語判定では、考えられる文字列すべてを書き出し、漏れのない仕組みを考えた。文字列は120通り。「大変だけど、確実な方がいい」と頑張った。
オーストラリアからは中3から高2までの5人が参戦。「オープンデモは作り込んできたから自信がある。四タスクの進捗率は50%から70%。17日までには間に合うだろう」と自信をみせる。このチームは17年のトライアル大会で優勝した強豪だ。
南米チリからは中3から高3までの6人が参戦した。8月に初めてペッパーに触れたという。チリの東大にあたるチリ大学でペッパーの扱い方を教えてもらった。もともとレゴマインドストームやアルドゥイーノ、パイソンができるため、スムーズに取り組めたという。改めて、「色の認識や文字認識に苦労するかも。でも指定課題がクリアできれば楽勝」と笑う。
16チーム全体としては余裕のあるチームは一部で、技術書やチュートリアルと格闘しているチームの方が多い。ジュニア競技委員会の江口愛美委員長(米ブルームフィールド大学准教授)は「わからない、エラーが消えないと、もっと大人を頼るかと思ったが、みな自分で勉強しながら頑張っている。その集中力がすごい。一日一日、どれくらい伸びるか非常に楽しみ」と期待する。
