「公共のWi-Fiを安全に使うために、必ず知っておくべき6つのポイント」の写真・リンク付きの記事はこちら

あなたが自分の家でインターネットにWi-Fi(無線LAN)接続するとき、その利用には何の問題もないはずだ。安全だし接続も簡単で、通信速度もまあまあ速いだろう。

しかし、外出先となれば話が違ってくる。

公共のWi-Fiネットワークに接続できる場所は増えているので、どこにいてもネットで連絡がとれるし、仕事もできる。しかし、外出先でのWi-Fiの利用は家にいるときほど簡単ではないし、安全でもないのだ。

本質的に公共のWi-Fiの安全性は、自宅で利用するネットワークよりも劣る。なぜなら誰がシステムをつくったのかも、ほかに誰が利用しているのかもわからないからだ。

だから理想としては、公共のWi-Fiは利用しないほうがいい。その代わりに自分のスマートフォンをテザリングしてネット接続するほうが安全だ。

しかし、どうしても公共のWi-Fiを使わなければならない場合には、いくつかの簡単な方法で「危険性」を下げられる。次のやり方を試してみてほしい。

1.有名な公共のWi-Fi を使う

どこにいても、よく知られているネットワークだけを使うようにするのはいい。スターバックスなどが運営するWi-Fiネットワークの危険度が低いのは、彼らはすでにあなたから十分なお金を得ているからだ[編註:公共のWi-Fiには通信が暗号化されていないものがあるので注意が必要となる。日本のスターバックスでもセキュリティに関する注意書きがある]。

とはいえ、絶対に安全な公共のWi-Fiはない。その安全性は、ネットワークの提供者や利用者によるところが大きいのだ。少なくともよく知られている事業者のものは、立ち寄ったショッピングモールであなたのスマートフォンに突然現れたネットワークや、聞いたこともない事業者が運営しているものよりは一般に安全といえる。

PHOTO: JEFFREY GREENBERG/UIG/GETTY IMAGES

仮に後者も合法的なものだとしよう。通りがかりの人がネットワークを無料で使ったとして、いったいどうやって運営者は“利益”を得るのだろうか? すべてが疑わしいというわけではないが、有名な事業者を利用するほうが安心ではある。

可能なら、利用するWi-Fiのサーヴィスは2つか3つに絞ろう。初めて訪れる街では、例えば以前から使っているチェーン店やコーヒーショップでだけ利用するのがいい。多くのネットワークと契約すればするほど、あなたの個人データやネットの閲覧情報を慎重に扱わない事業者に遭遇する可能性は高くなる。

2.「HTTPS接続」にこだわる

グーグルのウェブブラウザー「Google Chrome」は今年7月下旬から、暗号化されていないHTTP接続のサイトを開いたときに、「保護されていません」という警告をアドレスバーに表示するようになった。以前はその逆で、暗号化されたHTTPS接続の場合に表示が出ていた。

特に公共のWi-Fiを利用するときは、この警告に注意しよう。HTTPS接続なら暗号化されているので、あなたとサーヴァーの間でやり取りされるデータを、同じWi-Fiネットワークにいる他人がのぞき見することはできない。一方、HTTP接続ではデータが暗号化されていないので、比較的簡単とされている。

ブラウザーのアドレスバーに「HTTPS」と表示されていれば、通信が暗号化されている。IMAGE: GETTY IMAGES

3.個人情報を与えすぎない

公共のWi-Fiにアクセスしようとする際に、メールアドレスや電話番号などの詳しい個人情報をいろいろ聞いてくるようなら、そこは利用しないほうがよい。使わざるをえないときは、前述したような信頼できる事業者に限定し、メインでは使っていないメールアドレスで登録するのがいい。

商店やレストランの場合、複数もつWi-Fiホットスポットであなたを認識してマーケティングに活かすために、個人情報を求めてくることがある。無料のネットアクセスというプラスの面と、個人情報を与えるマイナス面についてよく考えてから、それらを利用すべきか判断しよう。

繰り返すが、利用する公共のWi-Fiサーヴィスは少ないほどいい。契約している通信事業者やケーブルテレビ事業者が、あなたがいまいる場所で無料のWi-Fiホットスポットを提供していないか、まず調べてみよう。すでに登録しているサーヴィスがあるなら、個人情報を与えて新しいところを利用するよりずっと安心できる。

4.「AirDrop」とファイル共有を避ける

外出先で赤の他人と同じ公共のネットワークに接続しているときは、簡単にファイル共有ができる機能をオフにしたいと思うはずだ。その方法を紹介しよう。

Windowsパソコンなら、「ネットワークと共有センター」を開いて「共有の詳細設定の変更」をクリックして、「ファイルとプリンターの共有」をオフにする。

Macなら、「システム環境設定」を開いて「共有」を選び、どの項目も選択しない。続いて「Finder」を起動して、「移動」「AirDrop」と選択し、「このMacを検出可能な相手」で「なし」を選ぶ。こうすれば、AirDropが無効になる。iPhoneやiPadで使われるiOSなら、「設定」「一般」からAirDropを見つけて、「受信しない」を選べばいい。

これでよし! あなたのファイルが近くにいる人に送られることはない。そしてあなたが望まなければ、誰かからファイルが送られてくることもない。

5.使用するWi-Fi事業者の契約内容を確認する

面倒だと思いがちだが、使おうとしている公共のWi-Fiの契約条件をきちんと読むべきだ。わからない用語が出てくるかもしれないが、読んでいるうちに大きな危険信号は察知できるだろう。特に、あなたがネットを利用することで彼らがどんなデータを集めて、どう扱うのかに注意しよう。

プロヴァイダーのポリシーで不可解なところがあれば、ネット検索をして、ほかのユーザーの評価や指摘を調べればいい。契約条件は事業者のことも守る条項なので、基本的には“怪しい”ところはないはずだ。

ただし、画面に何が現れても気にせずクリックするのはやめよう。そして、別のソフトやアプリ、ブラウザー拡張機能のインストールを求めてきたら、速やかに退散したほうがいい。

6.VPNを使う

いまのところ、公共のWi-Fiを安全に利用する最も効果的な方法は、VPN(ヴァーチャル・プライヴェート・ネットワーク)のソフトをあなたのデヴァイスにインストールすることだ。これによって、あなたがノートパソコンやスマートフォンでやり取りするデータは暗号化され、安全なサーヴァーに接続される。このため、ネットワークにいるほかのユーザーやネットワークの運営者が、あなたに関する詳しい情報を見るのは難しくなる。

実はすべてのVPNが同じではなく、安全性の程度には差がある。なかには信頼性が低いものもある。

そのなかで選ぶとしたら、なにより有料のものがいい。無料のVPNはマーケティングやデータ収集によって収益を得ている可能性があるので、かかわらないことだ。選ぶ際には、独立系のレヴューサイトの評価が参考になる。

VPNに接続する作業は簡単だ。端末がモバイルでもデスクトップパソコンでも、選択した事業者のVPNソフトやアプリをダウンロードし、あとは指示通りに設定していけばいい。あなたがよく外出して、さまざまな場所でいろいろなネットワークに接続するなら、「いいVPN」にはお金を払うだけの価値はあるはずだ。

おまけの助言

あと数年で、Wi-Fiの次世代セキュリティ規格である「WPA3」が利用されるようになり、公共のWi-Fiの安全性は高まる。それまでは古いソフトか、時代遅れのソフトに安全性を任せるしかない。

だから外出する前にあなたのノートパソコンやスマートフォンに、最新のパッチやソフトのアップデートをインストールしておくことだ。また、やむをえない場合を除いて、公共のWi-Fiに接続された状態で新しいソフトやアプリのダウンロードやインストールをしてはならない。

繰り返しになるが、安全面から言えば公共のWi-Fiネットワークを使わないのがいちばんだ。動画や音楽をダウンロードするのは自宅で行い、外出先ではなるべくスマートフォンのテザリングを使う。もし公共のWi-Fiに接続するなら、前述の注意すべきポイントをきちんとおさえておけば、トラブルに遭うことはなくなるはずだ。

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