Still Life Imaging -素晴らしき物撮影の世界- : 第2回 雑誌広告を想定してブランドバッグを撮る
解説・写真:南雲暁彦
1/80s f8 ISO100
撮影協力:中村雅也(凸版印刷) / 中島孟世(THS)
スタイリング:鈴木俊哉(BOOK.INC)
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表現要素は大きく2つ。バッグの革の質感と、透過光による生地の表情コントロールで、この2つのバランスを取ることで質感と浮遊感のあるビジュアルを作っていく。そして昨今の予算や時間が限られた中での制作ということも加味して合成なしの一発撮りである。ライティングでの質感表現やドレープのスタイリングなど迷わずに一発で決めていく、大人職人の撮影方法だ。何が自分の目指すビジュアルか、しっかりと頭にイデアを浮かべてそれに向かって写真を作っていく、予算や時間がなくてもそういう審美眼があれば目標に到達できると思っている。
ライティング図
【使用機材】
カメラ&レンズ(Sony)
α7Rlll
[1] FE 50mm F2.8 Macro
[2]
ストロボ (Profoto)
ProHead Plus
[3] (ジェネレーター:Pro-10)
アクセサリー (Profoto)
Zoom Reflector
[4] RFi Softbox 2×3
[5] RFi Softgrid 50° 2×3
[6]
Snoot for Zoom Reflector
[7] Grid 20° 180mm
[8] Air Remote TTL-S
[9]
撮影の流れ
今回のビジュアルをどのように撮影するのか順を追って説明していく。前出のライティング図と合わせて見ていこう。
1. 透過光によるバック板の表情作り

透過光のライト
透過光を当てた状態
ドレープのスタイリング
レンズを決め(今回は背景も重要なので50mm)バッグの設置位置とカメラアングルが決定したら、細部のスタイリングを詰めていく。今回は背景の生地のドレープが写真のテイストを大きく司る重要な要素なため、モニターでリアルタイムに確認しながら作り込んでいく。見ている位置がレンズ位置と少しでもずれると、思った絵にはならないのでライブビューでの確認は必須。フォトグラファーとスタイリストが意見を出し合って方向性を定めていく。
スタイリストによるドレープ作り2. メインライト

バンクにグリットを組み合わせたメインライト
メインライトを当てた状態3. タッチライト

スヌートを使用したタッチライト
タッチライトを当てた状態4. 全体のバランスを調整する
全てのライトを点灯させ全体のバランスを確認。非常にシンプルな3灯でのライティングで方向性も強いのだが、各々が少しずつ干渉しているので最後に全体を見ての微調整を行なうのだ。特に下からの透過光はそれだけを見て判断した時よりも、上の2灯が入ったことにより透過感が弱くなっているので調整が必要。バッグ自体も透過光でエッジに白が滲んでくるのでその度合いも確認する。これが浮遊感に繋がる。
完成したライティングセット
全てのライトを当てた状態
5. バリエーションからベストを探る
このライティングの面白いところは下から入れている透過光のコントロールで様々な表情が簡単に作れること。今回はストロボでの撮影だが、モデリングランプを撮影に使用して色温度を変えてしまうのも結構面白かった。それに連動してドレープも少し弄くると、大きくテイストの違うバリエーションカットが短時間で生まれることになる。画像のように光量を上げていくだけでこれだけドレープの表情が変わってくる。まるでドレープ自体を動かしているように見えるが、全く触っていない。





バリエーションを比較
撮影した3パターンの画像をモニター上で比較して、どのパターンが最も適した表現なのかを探る。バリエーションを作りやすいライティングではあるが、それを選んで決めていく作業は真剣そのもの。事前に設計したビジュアルは、最終的には現場で具現化されるわけだが、このような作業を通してコンマ何ミリの細部のこだわりとの格闘の末、産み落とされると毎回思う。
パターンを並べてセレクトを行なうバリエーション
セットやライティングを活かして別パターンの撮影。アレンジアイデアのひとつとしてチェックしておこう。
1/80s f8 ISO100 ※画像をクリックすると別ウィンドウで拡大表示
下からの透過光を弱くするとこのように生地に色が乗ってくるのだが、このカットもちょっとドレープを変えて光量を調整しただけで簡単に作ったバリエーションである。
今回は雑誌広告という印刷を前提としたメインカットの撮影を行なったが、広告では当然Web展開ということも頭に入れなくてはいけない。このバリエーションカットは印刷より色域が広くコントラストの高いスマートフォンやタブレットのモニターの再現力を意識したものにした。ブルーグリーンのようなそもそも印刷の色域から外れている色をこってりと乗せたもので、モニターで見るとかなり鮮やかで目をひくカットになっている。
※この記事はコマーシャル・フォト2018年7月号から転載しています。
