携帯業界「ポイント経済圏」の勝者は?
「つながるライフライン」の重要性
「通信の同心円状にライフデザインサービスを重ねていく」―。4月に就任したKDDIの高橋誠社長はこう力を込める。新リーダーのミッションは
「au経済圏」の拡大だ。
消費者の購買活動は商品の所有に重きを置く「モノ消費」だけではなく、商品やサービスの購入で得られる体験に価値を見いだす「コト消費」への移行が目立つ。これに対応し、KDDIは顧客の体験価値を演出することを「ライフデザイン」として、成長の柱に据える。エネルギーや物販、保険、決済などの非通信事業を顧客に提案し、au経済圏を作り上げる狙いだ。
経済圏拡大のカギを握るのは「お客さまにひもづいたIDと、お客さまの財布でもあるauウォレット」(高橋社長)。「ウォレットポイント」はau携帯電話などの利用料金に応じて貯まるもので、携帯料金の支払いに使えるほか、プリペイドカードとしても利用できる。
同カードは、支払時に残高不足の場合、じぶん銀行から自動入金する機能を搭載したほか、同カード利用者間での送金も可能にした。またイベントなどで利用者を優遇する取り組みを進めている。こういった付加価値サービスで顧客基盤を強固にして、経済圏の中でポイントを循環させる考えだ。
ソフトバンク(SB)も2017年6月に月額料金はそのままでヤフーの月額会員サービス「ヤフープレミアム」の特典を使い放題にした。
インターネット通販サイト「ヤフーショッピング」での買い物でもらえるポイント数も10倍にしたことで、SB・ワイモバイルユーザーによるヤフーショッピング購入者数が18年1―3月に前年同期比約3倍の222万に増加。SBとヤフーのID連携数も1200万に達した。
さらに、ネット通販事業のテコ入れに向けイオンとの提携を検討している。ソフトバンクとヤフーが持つ顧客基盤とイオンの幅広い商品力や物流網を組み合わせることで、米ネット通販最大手アマゾン・ドット・コムや楽天に対抗する狙いだ。
携帯各社は非通信事業を強化することで、それぞれの「経済圏」を拡大することに躍起になっている。ただ、ソフトバンクの宮内謙社長は「大震災を経験し、あらためてネットワークがライフラインだと感じた。ビジネスではあるが『確実につながる状態を維持する』ことが我々事業者の使命」と力を込める。
今後は各社が「通信の質」を維持していくことを前提に、非通信事業を含めた付加価値をいかに高められるのかが、成熟化した国内市場で勝ち抜くカギとなる。

