(c) 123rf

写真拡大

 スバルが提出した「報告書」に基づき、国土交通省は立ち入り検査を実施した。「無資格者による新車検査」や「燃費や排ガスデータの書き換え」について、原因調査と再発防止策を国土交通省に提出した「報告書」に関しては既に記事で紹介したが、問題はこれで「品質保証」が確保できるのかが焦点だ。

【こちらも】スバル国交省への報告書(1) 法的立場の言い訳 根底は「品質低下は気にしない」?

 これには2つ問題がある。1つは「スバルの報告書で述べた概念で品質保証ができるのか?」と、2つ目は「国土交通省の管理体制で、現実の実行が出来るのか?」だ。また、平たく言えば「国土交通省に現実の品質保証技術が有るのか?」が問われる場面でもある。もっと言えば、「監督官庁が、管理技術を持っているのか?」日本国内のシステムの実効性が問われている。それは、新車検査の有効性が疑問視されている中で、「車検制度」そのものの有効性まで問われていることとなる。

■「スバルは品質保証能力があるのか?」を問われている 上記【スバル国交省への報告書(1)〜(8)】の記事でお伝えしたように、スバルのこの報告書は「品質保証の原因究明と再発防止策」としては極めて不十分で、とても実行可能とは思われないのが私の実感だ。日大アメフト部の危険プレーに対する日大側の対処と共通する「法的立場の確保」が主力で、「現場作業員が勝手にやった」「実際の不良はなかった」など「管理能力の欠如を自ら宣言」していながら、再発防止策が出来るとする論理は、稚拙すぎると言うほかはない。

 スバルの現場作業員は、「現場が勝手にやった」と言われれば「言いたいこともあるはず」で、社内で発言が難しくても社会正義を考えるなら、公にする手立ても考えなければならないはずだ。そうしなければならないのが、「組合の働きが鈍くなっている」現代社会の問題点でもある。スバルとしては、潔く組織として管理職が関わった違法性のある部分を認めると共に、経営者を含めて謝罪と再発防止策を示すべきなのだ。今回の不正は班長以下の独断であり、数十年間も管理職に気付かれずにデータ改ざんが行われたとする論理は、とても信用できない。

 日大アメフト部で加害者となってしまった当該学生のような潔さがないと、とても信頼できないと感じる。真摯に、社内の組織としての欠点を認め、是正する方法を示してほしい。

 次に、品質管理の力は組織員の「共感した協力」なのだということを考えてみよう。