―ソサエティー5・0推進で政府の役割は。
 「製造・流通・サービスなど業界の垣根がなくなる中、産業構造を真正面から捉え、従来型産業を守る姿勢より、新産業をつくり上げていくアプローチが必要だ。そのような経済界、産業界の動きを政府が助けていくのが基本スタンスになるだろう」

 ―デジタル省創設を提言しました。
 「従来型の縦割り行政では片づかない課題が多く出てきた。政府も認識しており、内閣府に(司令塔機能を)集めているが、予算権限なしでは進まない。省庁横断が問題ではなく、今の時代認識からデジタルが最も大事な横断的施策だ」

 ―財政再建の課題は。
 「財政再建の最大のボトルネックは社会保障関連費用。少子高齢化で構造的に無理がきて国民が将来不安を覚える中、一歩も二歩も明確に踏み出さねばならない。共通理解があれば多少の痛みを伴う改革もできる」

 ―政権との距離感については。
 「経済界と意見の対立があることが望ましいとは思わない。ただ、互いに背負っている社会的責任は異なる。見解に相違があるのは当たり前。意見交換できる関係を築くことが政治との距離感だ」

 ―働き方改革関連法案の成立が大詰めを迎えています。
 「(働き方改革は)基本的には経営者と従業員で決める問題。ただ、やる気を引き出す賃上げをしなければ企業は競争力を失う。賃金体系の変更と働き方改革は一体だ。政府が一緒にやろうと音頭を取っていただけるのは非常によいことだ」

 ―経済外交の課題と米国との関係は。
 「地政学的リスクが企業経営で無視できない。(日米は)国同士の率直な対話をぜひやってほしい。ただ、それだけで全ては片付かない。米国は典型。州単位などコミュニケーションの多様化が重要になる」

 ―エネルギー政策について。
 「遠い将来ではなく、化石燃料が枯渇した時に再生可能エネルギーだけでは賄えない。大型原発の安全性は良く議論すべきだが、原子力エネルギーの利用技術は人類にとって必要。経団連としてもしっかり言っていくべきだ」

(聞き手=鈴木真央)