酒は喉にも悪影響及ぼす 同量の「チェイサー」で若い声を保とう

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【あさイチ】(NHK総合)2017年12月4日放送
「はやく気づいて!のどの老化」

食事の最中にむせるようになった、風邪でもないのに急にせき込む、サラッとした飲み物が飲みづらい...など、ちょっとした違和感を覚えている人、喉の筋肉が衰えているかもしれない。

喉の筋肉は40歳頃から衰え始め、声が低くなったりかすれたりするだけでなく、危険な誤嚥(ごえん)性肺炎にかかりやすくなるおそれもある。早いうちから喉の老化対策をしておくのが大切だ。

更年期が声帯にも影響

順子さん(42)は長男を保育園に迎えに行った際、走り出したのを呼び止めるため声をかけたら、子供が驚いた表情で振り返った。その後笑いながら「ババ(祖母)の声かと思った」と言われた。75歳の母と声が似ているなんて...と、ショックだったという。

カラオケでも高い音が出ず、持ち歌が歌いづらくなったそうだ。

声の変化は、年齢を重ねた女性にとって付き物の悩みといえるが、そもそもなぜ声が低くなるのか、耳鼻咽喉科医の中村一博氏が解説した。

女性は更年期を迎えると、女性ホルモンの分泌量が低下する。その影響で、声帯の粘膜の潤いが失われ、声につやがなくなりカサカサになる。

また、喉の筋力が低下して声帯を開閉する力が弱くなり、高い声が出なかったり、かすれたりするようになる。

女性ホルモンを投与しても声帯の回復は望めず、若い頃の声には戻らない。声を若返らせるには、中村氏が勧めるトレーニングが有効だ。

背もたれにもたれかからないようイスに姿勢良く座り、両手で座面をしっかり握って、イスを手で持ち上げるように力を入れながら、いきむ感じで「んっ」と声を出す。

10セットを1回とし、1日5〜10セット行う。声帯を閉じる筋肉が鍛えられ、ひと月ほど続ければかすれた声の改善が期待できる。

声帯には酒とタバコも悪影響を及ぼす。酒を飲むと代謝するために体の水分が使われ、脱水状態になり粘膜のツヤ、ハリがなくなる。飲酒の際は、酒と水などのチェイサーを1対1で飲もう。

タバコは刺激で声帯が慢性の炎症状態になり、声が低く、ガラガラになる。禁煙すればある程度の改善は望める。

誤嚥予防には「葉酸スムージー」&「念入り歯みがき」

食べ物や飲み物は口から食道に入って胃に運ばれるが、喉の筋肉が衰えると、食道ではなく誤って気管に入る。これが「誤嚥」だ。繰り返すと肺に細菌が入り、誤嚥性肺炎を引き起こす。

筋力の低下に加え、「せき反射」の衰えにも気を付けたい。

せき反射とは、誤嚥した時に脳が瞬時に指令を出し、むせて異物を出す反応だ。低下すると、気付かぬうちに誤嚥を繰り返すおそれがある。脳内の髪の毛ほどの細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」も、せき反射をコントロールする部分で起こると、反射を低下させてしまう。

せき反射を促すには、葉酸を意識的に摂(と)るとよい。ビタミンB群の葉酸は脳のドーパミンを生成し、せき反射にもかかわる。

誤嚥性肺炎の患者を数多く診察してきた池袋大谷クリニックの大谷義夫院長が葉酸摂取に勧めるのは、「誤嚥予防スムージー」だ。

二人分の材料は以下の通り。

ブロッコリースーパースプラウト 25グラム(半パック)

リンゴ 1個

バナナ 1本

ヨーグルト 180グラム

はちみつ 大さじ1

葉酸が豊富なブロッコリースーパースプラウトに、肺の機能を高めるといわれるリンゴ、免疫のバランスを良くするヨーグルト、抗炎症作用があるはちみつを加え、バナナのとろみで飲みやすくする。

葉酸はうなぎやレバーにも豊富だが、加熱すると減ってしまうので、生で食べられるものを摂るのがベストだ。スムージーにすれば毎日摂りやすい。

誤嚥性肺炎を防ぐには、口の中の雑菌を減らすのも重要だ。せき反射が低下していると、寝ている最中に唾液を誤嚥してしまい、唾液に含まれる雑菌で肺炎を起こすおそれがある。

毎食後と寝る前、1日4回、1回5分の歯みがきが有効だ。特に寝る前はデンタルフロスも使い、念入りに行うとよい。

大谷氏は誤嚥予防スムージーと1日4回の歯みがきを毎日実践し、54歳にして一度も誤嚥したことがないという。