【コラム】宇佐美貴史、苦境の中で徹底した改善…積み重ねた努力の先に待つ勝負のとき
ディルク・シュスター監督解任によって、12月17日に行われた前節のボルシアMG戦で今シーズン初スタメンに抜擢され、守備面で貢献した彼の連続出場を予想する現地メディアも多かった。が、ふたを開けてみればベンチスタート。アウクスブルクが韓国代表FWチ・ドンウォンの一撃で先制し、ドルトムントのフランス代表MFウスマン・デンベレに同点弾を奪われる一進一退の攻防が続いたことで、マヌエル・バウム新監督は守備を固めて勝ち点1を確保する手堅い戦い方を選択。宇佐美という攻撃のカードを切ることなく、1−1のドローに持ち込んだ。
とはいえ、今シーズンのリーグ戦16試合のうち出場は5試合。先発わずか1試合というのは、本人も想定外だったに違いない。超守備的戦術を志向したシュスター前監督がヘディングの競り合いに長けた長身選手を前線にズラリと並べたがったうえ、宇佐美自身のケガも重なり、9月11日のブレーメン戦から11月19日のヘルタ・ベルリン戦までリーグ10試合連続出番なしという苦境にも陥った。彼を寵愛するヴァイッド・ハリルホジッチ監督からも日本代表落選を突きつけられ、宇佐美は出口の見えない迷路に迷い込んだかのようだった。本人も「試合をこなしながらブンデスリーガのスピードに慣れて、自分の表現したいプレーができるようになっていくだろうと思っていた」と相次ぐ誤算を口にした。
しかしながら、彼はそこで腐ったり、諦めたりは決してしなかった。かつて試合出場から遠ざかったバイエルン、ホッフェンハイム時代以上に自分自身を冷静に見つめ直し、できることを1つ1つ洗い出して取り組み、改善を図っていったのだ。
「当時も自主練はやってたけど、1人で黙々とボールを触ったりするだけだった。でも今季、試合から遠ざかった時はフィジカルコーチを捕まえて負荷を上げるように仕向けたんです。監督が代わる前のこのチームは、負荷低い練習ってホンマに低いんで、試合に出れない自分は練習で積み上げていくしかない。そう思ってフィジコに『今日終わった後、やってくれ』と言ったんです。そしたら他の選手も『じゃあ俺がやる』とみんなやるようになっちゃったけど、たぶん俺の練習量が一番多かったと思うし、質と量も求めながらやれたと考えてます」と宇佐美は自らアクションを起こしてフィジコを味方につけ、自主トレに変化を凝らしたという。

