伸び悩んでいる部下には「命令」ではなく「質問」をすべき理由

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なかなか部下や後輩に成長の兆しが見られない。どのように育成していいのかわからない…。そう悩んでいる人は少なくないだろう。

そんな人は最近の自分を振り返ってみて、相手がその気になる「質問」をしているかどうか考えてほしい。

実はこの「質問」だけで、人を動かしたり、成長を促したりできるのだ。

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『「いい質問」が人を動かす』(文響社刊)の著者である谷原誠氏は、弁護士という仕事を通して質問の大切さを学んだという。

谷原氏は、弁護士として駆け出しの頃、質問をしないばかりに、独りよがりの裁判を続けた結果、裁判に勝っても相手から恨みを買い、そのせいで相手と依頼者との間にさらなる火種を作る事態を招いてしまった。

これは、「質問をしなかった」ために起きてしまったのだという。

そんな経験から「質問」の重要性を知った著者は、人を動かすには命令ではなく、その気にさせる質問することが大事だと述べる。

■人をその気にさせる質問のコツとは

では、「人をその気にさせる質問」とは一体どういうものなのか。人がその気になるのは、2つの場合があるという。

(1)自尊心を満足させるために動く
これは、お金を得られる。名誉を得られる。友情を得られるといったものだ。

(2)自尊心が傷つくのを回避するために動く
例えば危険を避けたり、人からの評価が下がるのを避けたりするときの行動である。

つまり、人を動かすときは、相手の自尊心を満足させるような質問をするか、自尊心が傷つくのを避けたくなるような質問をするのがよい。

どんな質問かという感覚は、商品購入の際に使われるトークを例にあげると分かりやすい。
「大きなテレビを購入して、みんなから羨ましがられたいと思いませんか?」というのは自尊心を満たす質問であり、「大きいテレビでないと、周囲から拍子抜けされて恥ずかしい気持ちになりませんか?」というのは自尊心が傷つくのを回避する質問である。

もう1つ重要なのが、「理性」と「感情」との関係だ。

人間が動くときは、まず感情が動いて欲求が発生し、その後、理性でその行動を正当化するというプロセスをたどる。

たとえば、テレビが欲しければ、「大きなテレビが欲しい」と感情が動き、購入をする段になると「ちょっと高すぎる」「分割払いはどうだろう」など理性で考える。なので、まずは相手の感情を動かす質問をし、次に理性を動かす質問をすると、相手もその気になるはずだ。

そのときに大事なのが、あるべき姿、理想的な姿をまずイメージさせながら質問を重ねていくことだ。相手が行動をしやすくなるには、向かうべき場所があったほうがいいのである。

他にもその気にさせる質問のシナリオなども解説されているので、ぜひ本書を読んでほしい。

良好なコミュニケーションをとる上で、相手を知ることはとても大切なこと。そのためにも、質問する力は重要なスキルとなるのだろう。

(新刊JP編集部)

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