今季、球団初のCS進出を果たした横浜DeNAベイスターズ。その立役者のひとりが、本塁打、打点ともにNPBでのキャリアハイを記録したホセ・ロペス選手だ。大活躍だった今シーズンを振り返り、ラミレス監督、チーム愛、自身の野球論から、意外な日本での日常生活までを楽しそうに語ってくれた。


── まずは、好きな食べ物からお聞きしたいのですが。

「お寿司ですね。日本ハムのレアード選手にも負けないぐらい大好きです!」

── ロペス選手が最初に注文するネタは何でしょう?

「野球に例えるなら、先頭打者はトロです。その後は、そうだな......嫌いなネタなんてひとつもなくて、みんな好き。そして、最後の抑えはネギトロ巻になります。トロでスタートしてネギトロ巻でシメる。まさにジャパニーズスタイルですね」

── 焼肉はどうですか?

「好きな部位はカルビです。もちろん、焼肉店に行く時は肉以外にも野菜をバランスよく食べることにしているよ。でもって、シメは冷麺ではなく、カルビクッパが定番かなぁ(笑)」

── ふだん街なかでの移動はどうしているのですか?

「日本ではクルマは運転していません。移動はタクシーか、電車や地下鉄を利用しています。僕はいつもPASMOを持ち歩いていますからね。ちなみにチャージもちゃんと自分でやりますよ。オフには靴の買い物が好きで、スニーカーだったり革靴だったり、コレクターとしてたくさん集めたい気持ちもあるんだけど、子供が2人いるんで......大変なんですよ(笑)」

── スポーツでは野球だけでなく、サッカーもお好きだそうですね?

「ええ。好きなレアル・マドリードの試合はもちろん、FCバルセロナの試合もチェックしています。いつも"バルサ負けてくれ!"と思いながらね(笑)。選手ではクリスティアーノ・ロナウドですね。マンチェスター・ユナイテッド時代から見ているけど、彼のスピード感あふれるプレースタイルが好きなんです」

── ではここからは、野球についてお聞きします。ロペス選手は独特な打撃スタイルを持っていますが、ご自身で心掛けているポイントはどこにあるのでしょう。

「なによりも、体の重心が前に突っ込まず、後ろに残すことを意識しています。調子の悪い時は突っ込むことが多くなるので、体のバランスを保つというか、"重心を整える"とでもいうのかなぁ。これは、どの選手にも共通して言えることだと思いますよ。重心が後ろにあるほうがボールもよく見えるので」

── 使用するバットへのこだわりはありますか。

「まずはグリップですね。2つ目はバランス。3つ目は材質です。その中でも一番に意識するのは、打った時の弾きを大切にしています。今使っているアメリカ製のバットは昨年からで、友達がこのメーカーに勤め始めたことがきっかけ。アリゾナにある自宅から工場が近く、自ら出向いてオーダーができるので好都合なんです」

── それまでのバットから、どこか変えた部分はあるのですか。

「モデルはずっと同じ。ただ、実は僕が使うバットの種類は3つあるんですよ。それを対戦ピッチャーに応じて使い分けています。直球の多いピッチャーならこのバット、変化球の多いピッチャーならこれ、といった感じで状況を確認しながら打席に臨んでいます」

── 先ほどお話に出た「ロペス流の打撃理論」を野球少年たちにアドバイスするなら、どのように伝えますか。

「バッターに一番大事なのはバランスです。しっかりバランスをとることにより、ボールがよく見え、遠くへ飛ばすことができます。まず、打席に立った時にバランスを保っていなくてはいけない。そして、スイングをする時にそのバランスをどう保つか? 前に突っ込んでしまうと力が伝わらないですし、後ろに重心をかけすぎてもダメ。立っている時のバランス、この感覚をしっかり覚えて、スイングする時にも同じように右足に体重を残しておく。(右バッターの場合)右足が一番大事なんです」

── 続いては守備です。ファーストを守るロペス選手のミットさばきは名手として名高いですが、守備で心掛けていることを教えてください。

「とにかく、一塁側に飛んできた打球は全部捕ってやろうというつもりで守っています。あとは他の野手からの一塁送球を捕る時に、彼らを助けたいという気持ちがありますね。難しい送球が来たとしても、僕がそれを捕ることによって彼らのミスを消すことができますから」

── 横浜DeNAベイスターズの内野陣は、きっと感謝していると思いますよ。少年時代はどこを守っていたんですか。

「ショートです。メジャーリーグのデビューもショートで、翌年からセカンドも経験しました。今の僕について言えば、ファーストに限らず、いろんなポジションでノックを受けて準備しています。それぞれ見える景色が違うので、自然と体の動きも変わるし、気分転換にもなるのです」

── ミットやグローブへのこだわりは?

「(手元のファーストミットを見せながら)このミットは練習用だけど、ボールが来たら、芯の部分で勝手に吸い込んじゃうような感覚が伝わってくるものがベストですね。革は硬いよりも、柔らかいものが好みです」

── 野球少年に向けて、守備面でのワンポイントアドバイスをください。

「最初の一歩目ですね。このことは外野手にも言えますが、とにかく一歩目をしっかり動くことによって、飛んできたボールに対して確実に対処できるようになりますから。そのためには、バッターの特徴によって守備位置を変えることも大事ですね」

── 最後に、チームのことを聞かせてください。今季、ラミレス監督と最初に交わした言葉はどのようなものでしたか。

「監督からは春季キャンプ前に電話がありました。『がんばっていきましょう!』みたいな感じで話が始まり、やがて3番を打ってくれということを言われて、その瞬間は"あまり打ったことないのにな"とちょっと驚いたのですが、監督が必要としてくれているところでがんばりますと伝えました」

── ラミレス監督の采配面で優れているところはどこでしょう。

「采配というよりも、試合に勝った時に一番喜んでいるのは監督なんですよ。そうやって表に感情を出してくれることにより、チームにベストな空気を醸し出しています。守備の時は監督の様子が見えないのでわからないですが、攻撃の時は、サヨナラホームランはもちろん、ふつうにホームランを打てば監督が一番喜んでくれて、たくさん褒めてもらえます」

── チームメイトで仲のいい選手は誰ですか。

「みんな仲がいいですよ。石川、筒香など、お互い都合が合えば一緒に食事にも行きます。寿司や焼肉にGO!ですね(笑)」

── 今季、ロペス選手から見て、チーム内で印象的だった選手を挙げてください。

「やはり、2冠王のキャプテン筒香でしょう。打点王だし、ホームラン王だし、3割もしっかりと打ってますからね。日本のバッターでは同じ右投げ左打ちの大谷翔平(日本ハム)も確かにすごいですけど、毎試合打席に立っているわけではない。その点において、筒香はバッターという専門職ですからね。

 あとは梶谷。彼の実力はあんなもんじゃない。トリプルスリー級の選手に成長しています。今年はケガがあって残念だったけど、その辺は自分自身が一番わかっているでしょう。是非とも来季の活躍を楽しみにしてください」

── 今季、横浜DeNAベイスターズファンの応援はいかがでしたか。

「熱狂的なファンが多くて、とてもうれしいですね。僕自身、シーズンを通してみれば調子の悪い時期もあったのですが、それでも普段と変わらない応援を続けてくれました。ありがたかったです。また、応援で強烈なのは、最後に康晃(山崎)が出てくる場面です。みんな歌って踊って飛んだり跳ねたりして、僕だけでなくチーム全体がハイテンションになります」

── すでに早々と来季の契約もまとまり、再び横浜DeNAベイスターズのためにプレーすることになりました。

「来季の数字的な目標は出せませんが、僕は横浜という街が好きですし、チームメイトも大好きなんで、来年も同じように活躍できればいいですね」

寺崎江月●文 text by Terasaki Egetsu