【ポルトガル 1-0 フランス|採点&寸評】メジャー大会初戴冠のポルトガルは軒並み高評価! MOMは好セーブ連発のルイ・パトリシオ
チーム 7.5
立ち上がりから積極的に仕掛けてきた開催国の攻勢によく耐え、C・ロナウドの負傷退場というアクシデントも乗り越えた。敵の組み立てに対して2列目から前がよく圧力を掛け、機能性の高い守備ブロックを形成し、その上で逆襲のチャンスを窺った。
ポストに救われた後半アディショナルタイムの一瞬を別にすれば守備は堅く、セットプレーを除けば決定機が皆無に近かった攻撃はワンチャンスを物にした。決勝を含めた3試合が延長にもつれ、PK戦での決着を引き分けとカウントすれば7戦3勝4分けと綱渡りの戴冠となったが、献身的な全員守備は試合を重ねながら強度を増し、ワールドカップを合わせた国際主要大会で初めて頂点を極めてみせた。
PK戦を視野に入れつつ、消耗戦に持ち込むという展開は、事前に想定していた通りか。大きな違いを作り出す可能性を垣間見せていたサンチェスを早めに外すという是非を問われかねない策が当たり、代わりに投入したエデルが値千金の決勝ゴール。
大会直前の怪我によりB・シウバ、ダニー、チアゴ、コエントランと少なからぬ主力を欠き、決勝はC・ロナウドの怪我という大きな誤算に見舞われながら、ポルトガルを国際主要大会初優勝という結果に導いた功績は特大だ。サンチェス、マリオ、アドリエンなど決勝に先発した11人中6人は、自身がA代表にデビューさせた選手。陣容の若返りと新陳代謝を進め、2年後のワールドカップにも道を繋げている。
【ポルトガル/選手採点&寸評】
GK
☆MAN OF THE MATCH
1 ルイ・パトリシオ 7.5
好判断と好反応で、C・ロナウドという大黒柱を失ったポルトガルの崩壊を食い止めた。10分にはクロスに頭で合わせたグリエーズマンの決定機を左手1本で阻止し、34分にはシッソコの、75分にはジルーの近距離弾を止め、84分にはシッソコの強烈なミドルをセーブしてみせた。決勝トーナメント4試合はわずか1失点という堅守を最後尾で支え、ファイナルでは今大会4試合目のクリーンシートを達成。
DF
3 ペペ 7
試合後嘔吐するまで戦い抜き、水際で敵の侵攻を食い止める防波堤となった。コンディション不良で欠場を余儀なくされた準決勝を挟んで戦列に復帰。3失点を喫したハンガリー戦を除けば、延長までもつれた3試合を含めて6試合で2失点という堅守を支える太い柱となった。
4 ジョゼ・フォンテ 7
身体を張った最後まで諦めない粘り強いディフェンスを、この日も続けた。30歳にしてA代表デビューという遅咲きのCBは、決勝トーナメントの4試合で先発を任されると、準決勝ではペペの不在を感じさせず、先入観にとらわれない登用に踏み切ったF・サントス監督に恩を返す。
5 ラファエウ・ゲレイロ 7
対角のセドリクと同様、タッチライン際で上下動を繰り返し、最終ラインの一員として穴を作らずに攻撃に厚みをもたらした。108分にはキッカーとして、クロスバー直撃の惜しい直接FKも。今大会はコンディション不良で2試合を欠場しながら、ピッチに立てば躍動感のあるプレーを披露しつづけた。
21 セドリク・ソアレス 7
1対1の守備対応でパイエやポグバと互角に渡り合い、攻撃時はコンスタントに幅と奥行きを作り出す。この日の最終ラインではフォンテ、ゲレイロと同様に、現政権下でA代表入りが実現したひとり。引き立ててくれたF・サントス監督の登用に応えてみせた。
※MAN OF THE MATCH=この試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
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MF
10 ジョアン・マリオ 6.5
組み立ての繋ぎ役としても、崩しの局面のチャンスメーカーとしても、まずまずの存在感。決勝トーナメントではピッチに不可欠のカードとなり、台頭した新黄金世代を象徴するひとりとなった。
14 ウィリアム・カルバリョ 7
累積警告で出場停止となった準決勝を挟み、先発に復帰。完全に捕まえきれていたわけではないが、厳重に警戒していたグリエーズマンを自由にはさせず、ラキティッチを封じ込めたクロアチア戦と同様の渋いパフォーマンスを決勝の大一番でも再現してみせた。
16 レナト・サンチェス 6(79分OUT)
準々決勝から3戦連続で先発を任されると、早々にC・ロナウドを失ったポルトガルでマリオとともに崩しの核となる。ただ、大きな成果は上げられず、おそらくは余力を残したまま、途中交代を命じられた。
23 アドリエン・シウバ 6(66分OUT)
目立っていたのはディフェンス面での献身だ。途中交代となった66分まで、高い位置で敵に圧力を掛けつづけただけでなく、自陣深くに戻っての好守備も。今大会初出場となったラウンド・オブ16のクロアチア戦で異彩を放ち、モウチーニョに取って代わると、エネルギッシュに尽力しつづけた。
FW
17 ナニ 7
この日も守備意識が非常に高く、ディフェンス組織の重要な歯車になりながら、攻撃でも持ち味を発揮する。80分にはクロスで敵GKを脅かし、時間の経過とともに、そのタフネスを際立たせた。C・ロナウドの交代後はキャプテンマークを巻き、チームを引っ張る敢闘を最後まで続けた。
7 クリスチアーノ・ロナウド -(25分OUT)
開始からわずか7分過ぎの接触プレーで左膝を痛め、涙を流しながらの無念の途中交代を余儀なくされた。準決勝まではフィールドプレーヤーでただひとりフル出場。3ゴール・3アシストと要所で結果を残していたエースの「母国に初の国際タイトルを」という夢は、仲間たちが叶えてくれた。
交代出場
FW
20 リカルド・カレスマ 6.5(25分IN)
故障のC・ロナウドに代わって、急きょピッチに。守備に気を使いながら、組み立てや崩しに絡み、エデルの決勝ゴールにも関与した。
MF
8 ジョアン・モウチーニョ 6 (66分IN)
アドリエンがこなしきれていなかった司令塔としての役割を、まずまずの頻度と精度で務め、ピッチ上で歓喜の瞬間を迎える。
FW
9 エデル 7.5(79分IN)
殊勲のゴールを決めたいわば伏兵。最前線に強さと高さを注入という求められた仕事を見せるようになったのは、延長に入ってから。104分にはCKに頭で合わせ、あわやのシーンを作ると、109分には距離のあるミドルを右足で叩き込み、この試合唯一の得点者となった。批判を覚悟で送り出したであろう指揮官の期待に見事に応えてみせた。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
文:手嶋真彦
【フランス/チーム&監督 採点&寸評】
チーム 5
序盤から先制点を求めて畳み掛け、再三チャンスを迎えたが、得点には結びつかず、徐々にリズムを崩していった。後半にはゴールに迫るシーンもあったが、堅守に阻まれたまま延長に入ると、それまでとタイプの違う相手の1トップに手を焼き、最後に決壊。戴冠の絶好の機会を逃した。
監督 ディディエ・デシャン監督 5.5
3試合連続で同じ先発を起用し、序盤から打って出たものの、プラン通りに進められず。後半からSBや前線のポジションを修正し、意図のある交代も交えてゴールに近づいたが、時間の経過とともに受けに回るチームを立て直せなかった。3枚目の交代も遅すぎたか。
【フランス/選手採点&寸評】
GK
1 ユーゴ・ロリス 6
序盤は仕事が少なく、徐々にピンチが増えていく難しい展開にも安定感を発揮し、ビッグセーブも何度か。失点シーンはエデルを褒めるべきだろう。
DF
3 パトリス・エブラ 5.5
サンチェス、クアレスマと対峙する相手が変わっても、しっかり対応した。後半から高い位置取りで攻撃参加するも、決定機は演出できなかった。
19 バカリ・サーニャ 5
バランスを見ながら、的確なタイミングで攻撃参加した。だが終盤には疲れが見られるようになり、判断力も鈍った印象。
21 ロラン・コシエルニー 5.5
落ち着いたカバーリングや完璧なタイミングのスライディングなど、普段通りの冷静な守備を続けたが、終盤に厳しい警告を受け、失点シーンでは寄せきれなかった。
22 サミュエル・ウンティティ 6.5
しつこい寄せ、鋭い出足、強い空中戦、的確なポジショニング、高精度の配球。しかし、エデルへの対応には悩まされた。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
MF
8 ディミトリ・パイエ 5 (58分OUT)
クロスで序盤に決定機を演出したが、大会序盤の頃の積極的な仕掛けはなく、徐々に存在感が薄くなっていった。C・ロナウドを負傷させたことは仕方ない。
14 ブレーズ・マテュイディ 5.5
攻撃的なプレスで相手の進入を止め、執拗なプレスで危険の芽を摘み取り続けた。ただし攻撃面は物足りなさが残った。
15 ポール・ポグバ 5.5
低めの位置取りでリスク管理と配球を担当。長い脚を利したキープ力と相手を幻惑する足技も披露したが、終盤は焦りも目立った。
18 ムサ・シッソコ 6.5 (110分OUT)
コンディションとフィジカルの違いを見せつけ、迫力満点のドリブルで推進力を生み出し、強烈なシュートも2度放った。ポジションを限定しない神出鬼没な動きも効果的だった。
FW
7 アントワーヌ・グリエーズマン 5.5
ラストパスに合わせる感覚と枠に飛ばす技術は健在も、疲れは隠せず、W・カルバリョの執拗なマークにも苦しんだ。66分のフリーのヘディングは決めたかった。
9 オリビエ・ジルー 5 (78分OUT)
序盤は積極性を見せたが、周囲との連係にこれまでのような滑らかさがなかった。疲労からか、身体のキレもいま一つで、2度のチャンスも決められず。
交代出場
FW
20 キングスレー・コマン 6 (58分IN)
攻撃の良きアクセントとなり、決定機も演出。抜群のアジリティーと高度なドリブル技術で相手を悩ませたが、延長には消える時間も。
FW
10 アンドレ=ピエール・ジニャク 6 (78分IN)
投入直後から果敢に動き回り、攻撃に変化を付けようとした。動き直して裏を狙い、クロスにも飛び込み、90+2分には最高のトラップとフェイントからシュートを放つも、ポストに嫌われた。
FW
11 アントニー・マルシアル - (110分IN)
失点直後に投入され、単独突破は失敗し、終了間際にはシュートを放ったが、相手DFの身体を張ったディフェンスに阻止された。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
文:井川洋一

