「C・ロナウド対ベイル」は前者に軍配。試合後に語った互いの印象とは?
互いに慎重な戦い方だった前半は、決定機の少ない拮抗した展開に。その中でより動きが良かったのが、ベイルだ。11分には縦のタッチダウンパスでチャンスを作れば、17分には左サイドを一気に駆け上がる。その流れで得たCKでは、トリックプレーから左足で惜しいシュートを放った。
さらに、21分には右サイドでC・ロナウドとラファエウ・ゲレイロを抜き去ってクロスを上げ、その直後にはカウンターから再び右サイドを一気に突破し、中央に切れ込んで強烈なミドルシュートを放った。
一方のC・ロナウドは、3分と10分に相手の激しいチャージを受けながらファウルを取ってもらえず、その後も良い形でボールを受けられなかったことで、徐々にイライラを募らせていた。42分の左足ミドルはブロック、44分のヘディングも枠外に飛ぶなど、ほとんど良いところなく前半終了のホイッスルを聞いた。
しかし、後半に入ると立場が一変する。50分、左サイドでショートコーナーを受けたゲレイロが高精度のクロスボールを上げ、C・ロナウドがジャンプ一番。競り合ってきたジェームズ・チェスターを弾き飛ばしながら、強烈なヘディングシュートをネットに突き刺した。
さらにその3分後には、C・ロナウドが再び違いを作る。右足で放ったシュートを、ペナルティーエリア内にいたナニが滑り込みながらコースを変え、ゴールに流し込んだのだ。
わずか3分間で2失点したウェールズのベイルは、これまで以上に下がった位置でボールを受けて何とか状況を打開しようと奮闘。しかし、61分の絶妙なロブパスはサム・ヴォ―クスのトラップミスで失敗し、76分のハーフボレーのミドルシュート、80分のロングレンジのドライブシュートはいずれも強烈だったもののコースが甘く、ともに相手GKルイ・パトリシオにセーブされた。
この日は相棒アーロン・ラムジーが出場停止だったため、いつも以上に負担がかかっていたのだろう。終盤はさすがに疲労の色が見えた。ベイルはそれでも必死に1点を目指して奮闘したが、無上にも試合終了のホイッスルが鳴り響き、ウェールズは0-2でポルトガルに屈した。
試合後、C・ロナウドとベイルはピッチ上で言葉を交わし、抱き合って互いの健闘を称え合った。
この日のゴールでミシェル・プラティニの大会通算最多得点(9)に並び、UEFA選出のマン・オブ・ザ・マッチにも選出されたC・ロナウドは、試合後にこう語った。
「記録に並んだことはもちろん嬉しいけど、チームが勝てたことが重要だ。今日も難しい時間帯はあったが、僕らはよく耐えた。選手、監督、コーチ陣はもちろん、医療スタッフなどもよくやってきてくれた。彼らが最後は笑顔で喜びの涙を流せるように願っている。僕の最大の夢は、いつもポルトガルにトロフィーを持ち帰ることだった。あと一歩だ」
一方のベイルは、次のようにコメントしている。
「すぐに試合を分析することは難しい。僕らは失望しているから。でも、誰もが最後の最後まで戦った。トロフィーに挑戦するためにね。だから誇りに思っているし、後悔はない。大会を通じて全力でサポートを続けてくれたファンに感謝したい。ありがとう」
気になるお互いについては、C・ロナウドが「(試合後は)普通の会話をしただけだよ。僕はベイルとウェールズの今大会のパフォーマンスを祝福した。彼は間違いなくユーロのスターのひとりだった」と語れば、ベイルは「彼は生粋のスコアラーであり、今日も得点した」と評した。
大きな注目を集めた対決は、C・ロナウドに軍配が上がった。しかし、ベイルが今大会で見せた輝きは決して色褪せない。初出場ウェールズを、ベスト4まで導いたのだから。
現地取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

