リオ五輪代表に選ばれた中島。「サッカーを楽しみたい」と意気込みを語っていた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 メンバー発表当日の中島は、その喜びを訊かれても表情を崩さない。いつもと変わらぬ淡々とした口調で次のようにコメントしていた。
 
「メンバーに選ばれて嬉しいですし、責任もある。楽しんでサッカーをしたいと思います。発表前も特に緊張はなくて、普通でしたね、たぶん。良いプレーをして、勝ち続けて、メダルを獲りたいです」
 
 中島にとって「楽しむ」というのはいわゆる常套句。ただ、勝つだけでは意味がない。楽しんで勝たないと意味がないというのが、このテクニシャンのモットーなのだ。
 
 しかし、決して独り善がりのプレーを好んでいるわけではない。今回のリオ五輪を勝ち抜くうえでも、中島はチームワークが重要だと言っていた。
 
「日本の組織力、チームとしてのまとまりを出せれば、勝てるチャンスが膨らむ。個人としては攻撃面で違いを出して、毎試合ゴール、アシストだったり、そういうプレーをやらないといけないです。やっぱり組織がないと日本は勝てない。チーム力というか、そういうものは絶対に必要。オーバーエイジの選手と話し合うことも大事です。ピッチで要求しあえば、良さも分かってもらえるはずです」
 
 協調性を重視しているからこそ、背番号へのこだわりも特にない。FC東京には北京五輪で10番を付けた梶山、ロンドン五輪で同じく10番を付けた東がいるが、「背番号は手倉森監督が決めることですし、どの番号でも活躍しないとダメ。常に活躍できる選手にならないとダメだと思います」
 
 ただ、中島はチームワークだけで勝てるとは考えていない。理想は、個と組織の融合だ。
 
「組織力に頼りすぎて、個人で勝負しないのは違う。やはり、その両方を出していけたらと思う。開催地のブラジルはサッカー大国なので楽しみ。観客もいいプレーをすれば盛り上がってくれると思う。過酷な環境だけど、それに打ち勝っていきたい」
 
 
 リオ五輪が「これまでの人生で一番大きな大会」という中島には、負けられない理由がある。FC東京でメンバーに選ばれなかった選手のためにも、異国の地でその実力を証明しなければならない。
 
「(橋本)拳人も(小川)諒也も、ヒデ(野澤英之)も代表でやった仲間。本当は全員で行ければいいけれど……。選ばれた自分と(室屋)成は、いろんなものを背負いながら戦ってしっかりと勝ちたい」
 
 クラブで出番に恵まれず、怪我をした時期もありながら、U-23代表に選んでくれた手倉森監督に恩返しするためにも、中島はリオ五輪で勝利を掴みたいと考えている。
 
「日本の代表としてオリンピックに出る覚悟はあります。そのうえで、全力でやって、楽しんで、良い結果を得たい。メダルを獲れれば、これまで支えてくれた人たちへの恩返しになる」