疲れがとれないから、とりあえずエナジードリンク…は正解?

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有給なんて残っていない、週2日の休みだけじゃ疲れが残ってしまう。だからといって、うなぎ食べてエナジードリンクを飲んで、熱いお風呂に入って元気になろう…なんてことはしてないだろうか?

実は一般的に言われている疲労回復方法は、ぜーんぶ間違い! 集英社新書の最新ベストセラー『すべての疲労は脳が原因』の著者・梶本修身(かじもと・おさみ)先生に疲労回復の都市伝説を解説してもらったぞ。

■あなたの疲労回復方法は正解? それとも不正解?

うなぎや焼肉を食べて、エナジードリンクを飲んでエネルギー充填! 梅干しや酢など酸っぱい食べ物で疲労回復! 週末に1泊の温泉地への小旅行をしてリフレッシュ!など、やりがちだが、コレは全部、疲労を回復させないし、蓄積させる一方のものまであるのだという。

そこで、巷(ちまた)にあふれる疲労回復方法の効果について梶本先生に聞いた。

Q.うなぎや焼肉のスタミナ食には疲労回復効果がある?

A.スタミナ食で疲労回復効果を得られた研究結果はありません。

Q.梅干しや酢などクエン酸の酸っぱさは疲労回復に効果がある?

A.男性や一般的な体力の方には効果はありません。糖分を摂取していない方や、ダイエットで極端にカロリー摂取が少ない女性などには有効に働くことがあります。

Q.エナジードリンクは疲労回復に効果がある?

A.疲れた時にあと、ひと踏ん張りするために飲むなら一定の効果があります。というのも、エナジードリンクはカフェインで眠気をとり、アルコールで高揚させているため感覚の疲労感を取り除くからです。ただ、それは本質的な疲労にマスクをかけているだけですから、抜本的な疲労回復にはなりません。

Q.お風呂で疲労は回復する?

A.39度くらいのぬるめの湯で半身浴をするのであれば、疲労は回復に向かいます。下半身を温めると副交感神経が優位になるためです。また、お風呂は血流をよくする効果があり、疲労物質である老廃物を体外に排出するのを促進します。

ただ、熱いお風呂は逆効果です。熱めの湯につかると脳で快楽物質が分泌されることで、疲労感が飛んでしまうため「疲れがとれた」と勘違いするだけで、その実、余計に疲れています。

Q.週末の1泊温泉旅行で心をリフレッシュすれば、疲労も吹っ飛ぶ?

A.温泉好きの場合は何度もお湯に入るので、逆に疲れてしまうでしょう。また、旅行は移動をするので疲れます。なぜかというと、車でも電車でもずっと同じ姿勢をとっているためです。また、座っていると腿(もも)の根元が圧迫されているため、腎臓に流れる血液が少なくなり老廃物がスムーズに流れなくなるので体の中に残ってしまうことで眠気も起きます。

Q.友だちと会って話すことでストレス発散、疲れも忘れられる?

A.すでに疲労を感じている場合は、疲れるだけでしょう。ただ、会話は疲労しにくい脳を作ります。脳を疲れにくくするには、脳を一箇所だけ使うのではなく、まんべんなく使う必要があります。会話中は状況を判断し、どんな話題が今は適切なのかなど複雑な判断を行なっているため、脳のあらゆる場所を使っています。日ごろから人とコミュニケーションをとって会話をしていれば、疲れにくい脳を作ることができます。

このように、一般的にやりがちな疲労回復方法の効果は薄いことがわかった。では、本当に効き目のある方法とは? 次回、梶本先生が疲労回復の最終兵器を明かす!

(取材・文/渡邉裕美 撮影/五十嵐和博)

取材協力/梶本修身先生

医学博士。大阪市立大学病院疲労医学講座特任教授。『東京疲労・睡眠クリニック』院長。2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗う疲労食薬開発プロジェクト」の統括責任者。

『東京疲労・睡眠クリニック』

住所:東京都港区新橋1-15−7 新橋NFビル3F 電話:03―3504―0555(完全予約制)http://xn--pcka3d5a7lx98rugzc.com/