致命的ミス、起用法、伸び悩む右腕… DeNAが最下位に沈んだ理由【投手編】
無安打でサヨナラ負けの試合が今季を象徴「後半は痛いところでミスが出ていた」
今から3年前の2012年シーズン。「横浜ベイスターズ」は「横浜DeNAベイスターズ」に球団名を変え、生まれ変わった。初年度は46勝85敗13分と借金「39」で最下位に沈んだが、翌年は「15」、創設3年目は「8」と徐々に借金は減少。チームは着実に成長を遂げ、迎えた今年、チームは交流戦突入前まで貯金「10」でペナントレースをリード。オールスターにも5人の選手が選出され、ファンの期待は高まった。
しかし、交流戦、そして後半戦と進むに連れて失速。終わってみれば62勝80敗の借金「18」で、順位も初年度に逆戻りの最下位に沈んだ。
ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜と4球団で捕手として活躍した野口寿浩氏はDeNAの今季を振り返り、「投打の噛み合いがよく、ミスが出ても打線がカバーできていたのが前半。打線がカバーしきれないくらいミスが出たというか、致命的なミスが出てしまったのが後半」と分析した。
「前半はバッテリーミスもそんなに目立たなかったですが、後半は痛いところで出ていた印象なので、そこでしょうね。バッテリーミスが12球団断トツでしょ。特に、甲子園で中畑監督が『ギブアップ!』と言った試合。あれが象徴でしょう」
今シーズンのチーム暴投数は12球団最多の「68」。9月30日の阪神戦(甲子園)では、3-3の9回裏に振り逃げ、投手・三上のバント処理エラー、そして最後は捕逸と無安打で1点を献上し、サヨナラ負けを喫する屈辱を味わった。
「前半もミスはあったけれども、それが致命的じゃないところで出いて、何とかカバーしきれていた。勝敗に直結してしまうところでは出ていなかったんです。経験がなかったところもあるでしょうし、流れといってしまえばそこまでなんだけど、上位で争ったことがないチームが争い始めて、堅くなったというのは間違いなくあると思います。
4月、5月くらいだと、シーズン終盤の争いとは比べ物にならないくらい楽に試合ができる。若さ、勢いに任せてイケイケでいけてしまう部分もあるのですが、(前半戦を)首位ターンという結果が出た。そういうのが硬さに変わってくる」
若い選手が多いチームだけに、上位争いの経験の乏しさが出たと野口氏は指摘。「これ以上落ちるわけにはいけないと思い始めると、どんどん悪循環に陥っていく」と分析した。
さらに、序盤にセットアッパーとして奮闘し、自身初のオールスター出場とブレイクした左腕を例に挙げ、投手の起用についても言及した。
"我慢の起用"ができず? 「首脳陣が信じきれてやれなかったのかな」
「中畑監督が堪え性がなかったかな。例えば、ずっと継続して良かったピッチャーでも1回、2回とやられると(2軍に)落とすでしょ。先発、中継ぎしかり。田中健二朗なんてそうじゃないですか。首脳陣が信じきれてやれなかったのかな。それがちょっと流れをつかめなかった要因のような気がするんですよね。
『このポジションはお前に任せたよ、どんだけ打たれたってお前が行くんだよ』という感じにしてあげないと。あの山口(巨人)だってそういうこともあるんだから。だけど、原さんは上手く間を空けたりしながらも、あのポジションを山口以外の投手には任せなかったでしょう。そういう違いはあると思うんですよね」
143試合と続くシーズンだけに、一時の不振だけで判断せず、“我慢の起用”が必要だという。
「やっぱり『この選手が活躍してくれないとうちはしんどいぞ』っていう選手って、絶対いるはずなんで。そういうピッチャーを簡単に落としてしまう。代わりがいるのであればいいのですが、いないのに落として、代わりに上げてきたピッチャーがそれだけの活躍が出来たかといえば、出来なかったからこうなっているので。
だったらそこを抹消しないで、帯同させながら、少し間を空けさせながら復活させていく道はなかったのかなと。たとえば今まではクリーンアップとかで左が続くところで投げていた左ピッチャーを、下位打線の左が2人続いているところにぶつけてみる。または、8回を任されているピッチャーを7回に出すのは問題ないと思うんですよ。そういう柔軟な起用方法は出来なかったのかなと」
今季はクローザーとして山崎康が新人歴代最多の37セーブを挙げたものの、結局、その前を投げる投手を固定することはできなかった。
「山崎につなぐ前に、ひっくり返されたり、追いつかれたり。そういう風に流れていくと、どんどんやられるイニングが早くなっていくんです。そうすると先発がやられたりするんでね。そういう方向にすべてが向いてしまったから、沈んだんじゃないですかね」。
野口氏は、1年間を通して信頼できる継投策を確立できなかったことも失速の要因として挙げた。
先発陣は"全員が期待外れ"、ピカ一素材の山口&高崎は「考え方が甘すぎる」
そして、投手陣の課題は先発にもあった。
「期待外れは全員でしょう。三浦大輔を除いて。久保、三嶋、山口俊、井納、高崎、モスコーソも……みんな期待外れ」
昨季は久保が12勝(6敗)、井納が11勝(9敗)、モスコーソが9勝(9敗)。シーズン途中で先発に転向した山口が8勝(5敗)と、4本の柱が確立したかに見えた。しかし、今季は久保の8勝(7敗)が最多、それに次ぐのが41歳の三浦の6勝(6敗)だった。手厳しい言葉を並べざるを得ない状況だ。そんな中、野口氏が特に奮起を促す元チームメートの2投手がいる。
「山口俊や高崎は素材だけみたらピカ一。しかし、はっきり言わせてもらうと、考え方が甘すぎる。あの2人は本当にやってもらわなきゃ困る選手なので。本当に厳しく言いますが、頭の中から全てひっくり返さないと絶対に良くならない。断言します」
2012年には史上最年少で100セーブを挙げた山口、同じ年に開幕投手を務めた高崎にゲキを飛ばした。
「『俺はできるんだ』という前提の元で考えているんです。『そんなんじゃないよ。できない方なんだからね。そこから考えていかないと、上手くならないよ』と。どうも勘違いをしているように思えてしょうがないんです。『俺はすごいピッチャーなんだ』と」
野口氏がDeNAに在籍した2年間でバッテリーを組むこともあった両投手だけに、言葉には力が入る。
「山口俊は私が横浜に移籍したときは石井裕也(日本ハム)につなぐセットアッパーとして投げていました。高崎もその前を中継ぎとして投げているピッチャーでした。あの頃はただがむしゃらに腕を振っていただけだったはずなんです。『自分を高めよう』『チームのためになんとか頑張ろう』。それ以外思っていなかったはずなんです。その頃の気持ちを思い出してやりなさい、と。
周り、他のチームがどんどん上がってきているのに、『自分はできる』と思っているから停滞するんです。例えば、目先を変えるためにシュートを投げてみたりだとかね。(自分がバッテリーを組んでいた時は)シュートを投げたらストライクが入らなくなるので、シュートをやめさせたらよくなったんです。でも、先発に戻ったらまたシュートを投げるんです。それは、その場その場を抑えようとしているから。それは向上心じゃない。その場しのぎと言うんです。だから周りと差がついてくる」
素材は一級品ながら伸び悩む2投手の”甘さ"を野口氏は厳しく指摘した。
上位進出へ、DeNAは先発陣の強化が不可欠だ。今季もシーズン中盤から砂田毅樹、石田健大ら若手投手の台頭はあった。しかし、なぜそうなったかと考えると、当初はローテーションを守る予定だった投手たちが次々と期待を裏切ったことも間接的な要因として挙げられる。
「考え方が甘いんです」ーー。
道半ばで終わった優勝へ、今季は結果を残せなかった選手たちの奮起に期待がかかる。

