「壮絶」の裏に潜む多くの課題

遊撃手から2番手マウンドに上がり好投した今治東・羽藤 勇貴(1年)

 勝てばどちらも初の決勝戦進出をかけた準決勝は壮絶な試合となった。

 安打数は今治東「17」・今治南「10」、失策は今治東「5」・今治南「1」。与四死球が今治東「4」・今治南「3」と両校投手陣がよく制球力を発揮したにもかかわらずこのような展開になったのは、ひとえに勝利への思いが途切れなかったからだ。その部分では大いに評価できる。

 ただ、その裏には課題が数多く潜んでいる。

 たとえば、9回表一死二・三塁から今治東7番・児島 有佑(1年・一塁手・右投右打・168センチ55キロ・今治市立南中出身)三塁前に転がした決勝2ランスクイズは見事だったが、守備側・今治南の想定はどのくらいあったのか?また、今治東が初回・9回の得点後に複数失点を与えた理由は?答えは各人がしっかり把握しているはずだ。

 幸いにも、このゲームは東予・中予・南予と地区別で頂点を目指す新人戦。秋・春は地区予選後には県大会が控え、夏は地区関係なくシャッフルされた中で頂点を目指す中、ここで課題を把握し克服することができれば、チームとしても、個人としてもさらなる成長ができる。

 勝ち負けはもちろん大事だが、そこだけに流されることは危険な兆候。「新人戦」だからこそ、両校には壮絶な戦いの中で出た貴重な課題の把握と克服にも全力を尽くしてほしい。

(文=寺下 友徳)

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