3Dを超える4D映画で恐怖体験!!「シアター・オブ・テラー 岬の果ての映画祭」
8月のある日、お祭りで盛り上がる月島で、マジで怖〜い映画祭が開かれました。
この「シアター・オブ・テラー 岬の果ての映画祭」、実は“いわくつき”なのです。
この映画祭、イベント立ち上げ当初は廃校になった中学校で上映する予定が、あまりに怖すぎる演出のため、管理・運営元に断られてしまったとか。その前情報からして怖い……。
強烈にヤバい感じがしつつ、ゾンビ・ホラー好きとして行かないわけにはいかない! そうとう涼しく過ごせるだろうと行って参りました。
入り口前の椅子には謎の仮面。既に怪しげな雰囲気が漂っています。古びた扉の奥には、一体何が待ち構えているのでしょうか……。
会場は、隅田川のほとりにある「TEMPORARYCONTEMPORARY」。アートやファッションなどのイベントにも使われるレンタルスペースです。打ちっぱなしのコンクリートがカッコいい雰囲気。
全ては映画好き同士の出会いから始まった入り口では主催のCinetunes代表・朝川さんがお出迎え。
共同で主催している移動式映画館「輪輪シネマ」の方との出会いが、今回のイベントを立ち上げるきっかけになったとか。普段はライターとしてお仕事されているそうです。
ご本人もジャンルにとらわれずの映画好き、ホラー映画ももちろん大好き。
映画祭について朝川さんにお話を伺いました。
──朝川さんにとって、今回が初主催の映画祭でしょうか?
そうですね。今回が初めてです。これまで映画祭には、規模の大きいものから小さいものまでいろいろ参加はしてきましたが、コンセプトを絞ったものがなかったので、一度やってみたいとずっと思っていました。
──“ヒトの怖さ”をテーマにした理由は?
幽霊やゾンビをテーマにしたイベントはたくさんありますが、個人的に一番恐いと感じていたのが“ヒト”がテーマのサスペンスやホラー映画だったからです。
もともと廃校での上映会がメインテーマだったので、人気がなくなった施設でやるからこそ、最も恐いテーマになるかなと思いました。
──今後も映画祭企画されますか? やるとしたらどんなものでしょうか?
直近では未定ですが、次回は新作映画の過去作品を連続して見るような映画祭をやってみたいと思っています。
たとえば「スター・ウォーズ」。12月中旬に新作が公開されるので、11月辺りに過去6作品を一気に上映したらおもしろいんじゃないのかなと思っています。
過去作品にテーマを絞って一気見するのは、大賛成です。そして今回が初主催の映画祭ということで、選りすぐりのラインナップなのでしょうか。怖そうな気がします……。
輪輪シネマさんは、海や山など日本中のあらゆる場所で映画の自主上映をしている団体。今日も、映画の上映中だけでなく、その前後にも何らかの怖い演出があるという噂……。
覚悟して……いや、期待して鑑賞したいと思います。
朝川さんが自らつくったハンドメイドTシャツは、血のりがいい具合に入っています。スタッフのみなさんも着用していました。
持ち込みもOKですが、飲み物とおつまみも購入できました。映画には必須のポップコーンも。
今回は、メインステージとサブステージの2ヶ所で上映。収容人数は40人ほど。立ち見や地べたに座りながらの鑑賞もOKです。
ゾンビなんてカワイイもんです。一番怖いのは“ヒト”!今回は、“ヒトの怖さ”をテーマに、人間がもたらす惨劇を描いた「凶悪」「ホステル」「ストレンジャーズ/戦慄の訪問者」の3本の映画が上映されました。
どれも観たことのない作品でしたが、あらすじを読むだけで背筋が寒〜くなるものばかり。
会場を見回すと女性客が8割。カップルは少なく女性の友人同士という組み合わせが一番多い印象。女性がこれだけいるんだから大丈夫!と根拠のない自信を持って、1作目の「凶悪」を鑑賞。
「凶悪」は、2013年に制作された日本の映画。リリー・フランキーとピエール瀧が犯罪者役、山田孝之が事件を追うジャーナリストの役で、話題になりました。
原作は、ノンフィクションのベストセラー小説『凶悪 -ある死刑囚の告発-』。一応、ホラーではなく社会派のサスペンスものですが……。
始まってすぐ、いきなりどぎつい犯罪シーンの連続に息をのみます。これが実話だと思うと余計に怖い……。
社会悪を暴くジャーナリストとして正義の側にいた山田孝之が、だんだん凶悪な顔になっていきます。終盤になるにつれて、山田さんの顔が「闇金ウシジマくん」のときの怖い顔になってきました。
安心安全と思っていた日本でも、こんなに不条理で怖い世界があるんですね……。できれば関わりたくない……。
映画を見た後だったら、ゾンビ映画がファンタジーに感じるはずです。
会場にチンピラ登場!? 会場内の空気が凍る「こっち見てんじゃねーよ!」
映画のバックロールが流れ終わると、いきなり男が乱入。わめき散らしながら、客席をまわり始めました。いや、見てません、見てませんよっ……!
会場の観客のひとり(私の隣の隣)の頭を掴んで「何見てんだよ!(怒)」と叫び、イスを投げ(私の隣)、観客を乱暴に引きずって行ってしまいました……。会場しばし呆然。
その後、どっきりのプラカードを持った人が出てくることもなく、会場が明るくなって終了。なんだったんだー!!??
いや〜、生身の人間の持つ迫力は半端ないです。映画を見ているとき以上に会場が緊張感に包まれました。
演出だろうと思っても、0.1%の確率で「もし本当だったらどうしよう……」という頭も働いてしまうのでした。リアルって怖い。
モヤモヤ考えながら次の作品までの空いた時間、映画館から出ようとエレベーターを開いたら……
「ギャー!!!」
エレベーターに手首のあたりからバッサリと切り落とされた、手が落ちていました。普通にビックリ!演出上の小ネタ? なにかの間違いで取り残されていたのでしょうか?
ちなみに戻ってきたとき、手は消えていました。誰か持って帰ってしまったのでしょうか? こういうのは、心臓にきますね。
もう海外に行けない……。怖い、というかひどい映画、「ホステル」鑑賞「ホステル」は2005年に制作されたアメリカ映画。スロバキアにある田舎町が舞台となって、犯罪組織(ほぼ町ぐるみ?)が人の命を売買して弄ぶという、怖いというか、かなりひどい映画。
そのホステルに泊まった旅行客は、ほぼターゲットにされ恐ろしい目にあいます。もう海外旅行に行っても誰も信じられません……。実話ではないのが救いです。
映画終了後、また来るか? 次は驚かないぞと思っていたら、やっぱり謎の男、登場。そして、いつのまにか会場の後方に、血だらけの女性……。
座って映画を観ていた女性客に詰め寄る。手には刃物! いや、演出とは分かっているのです。もちろんみんな分かっているのですが、会場の空気の張りつめようが半端ないです。
さっき見た映画の世界に、シンクロしているような、なんだか不思議な感覚でした。近くの女性客は、男と目をあわせないように、ずっと下を向いていました。
血だらけの女性も連れ去られて行きました……。 そして、会場に残されたのは映画にもでてきた、あの処刑イス……。思いだすだけでゾッとします……。
衝撃が強すぎて、3本目の「ストレンジャーズ/戦慄の訪問者」は断念。これら全ての作品をぶっ通しで見られる人は、一体どんな精神構造をしているのでしょうか。
帰りは、やっぱり月島だし、もんじゃ……もんじゃ……。と思ったのですが、映画の“あんなシーン、こんなシーン”が頭に浮んでしまい、断念。
結局、ネギ焼きを食べて帰りました。ホラー映画のあとのもんじゃはおススメできません。
怖すぎるホラー映画祭。非日常の恐怖を思う存分味わえて、心底ひんやりでした。
そして、ヒトの恐ろしさをまざまざと感じた一日となりました。
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