泉本 行志 / 株式会社アウトブレイン

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私はプロジェクトベースで依頼を受け仕事をしています。
ここ10年くらいで、何十ものプロジェクトに参加してきました。
でも、そのすべてがうまくいったわけではありません。

中でも、特に2つ苦い経験があります。

苦い経験というのは、つまりはクライアントに
満足頂けずにプロジェクトが終了したということです。

そんなときは、普段ベットに入ると数秒で眠れることを得意とする私も、
悔しさで寝れないってことが起こります。

その苦いプロジェクトの1つは、業務プロセス改善をテーマとしたものでした。
私は結構、いろいろなテーマのプロジェクトを普段から依頼頂きますが、
この分野は、私が経験も豊富で得意分野です。

そのプロジェクトの依頼では、予算の関係もあって
私がフルタイムでプロジェクトをマネジメントするのではなく、
週に1、2回会議に参加して、社内のプロジェクトマネージャーの
ブレインとして助言をしてくれという話でした。

私はそのとおりに、プロジェクトマネジャーに対して、
自分がもつ知識や経験を都度伝えていきました。
彼からも「勉強になります」という言葉があったので、
自分としてはバリューを提供できていたと信じていました。

ところが、1か月が過ぎると、プロジェクトのオーナーから
こんなことを伝えられました。

「もっとプロジェクトをリードして欲しかった。
助言ではなく、プロジェクトをリードしてくれる人を求めていた」

それに対する私の反応は、
「いやいや、っていうか、そういう話だったでしょ。
それでプロジェクトがうまく進められなくて、期待外れと言われても・・」

なにを理不尽なことを言ってるんだ!と私も反応的になってしまい、
結果プロジェクトを離れることを選択しました。

ただ、しばらくして冷静になって、自分に問いかけました。
「ほんとに、自分がすべきことをやっていただろうか。」

結局、クライアントが必要としていたのは知識あるいは
プロジェクトマネジャーへのコーチング/ティーチングなどではなく、
プロジェクトを進める原動力でした。

契約上、自分はあくまで知識を提供する側であって、
それをうまく実行できるかはクライアント次第でしょう。
っていうのは商売としては正論かもしれないけど、
それって、プロフェッショナルとしてカッコいいだろうか?

プロジェクトの状況をみて、必要なら契約内容の見直しも含めて、
もっとこちらから積極的に関わり方を提案できなかっただろうか。
あるいは、限られた時間の中でも、プロジェクトをグッと前に進める
第1歩となる何かしらのアクションはとれなかっただろうか。

そう考えるようになりました。

知識なんて、いくらでも世の中に出ている。
勉強熱心な人なら、自分の仕事に関係するビジネス書の
1つや2つ読んでいるはず。

これまで、いろいろな企業の中に入って問題解決に携わってきた中で、
知識がなくてうまくできないというケースは意外と少ない。
それより、状況を整理してチームを強くリードする人がいないことが問題。
というよりは、やるべきことも実はわかっているのに、
何かメンタルブロックがかかって、リードしようという気持ちが負けてしまっている。

だから、リードできる人は、すごく求められています。
頭でっかちのコンサルタントではなく、
知識や経験が少なくても、プロジェクトをリードする
メンタルが強い人。
自分が引っ張っていく!というセルフイメージが高い人。

そういう人が必要とされています。

プロジェクトマネジメントのテクニックとか
問題解決の手法などは、その次の話。

まずは

I will lead, not follow.

こういうマインドを持つことが大切。
結局は、こういう人がどんな環境でも勝ち続ける
ストリート・スマートなんだと思う。