坂口 健治 / クイックウィンズ株式会社

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プロジェクト管理ルールの導入はお作法的な位置づけ

タイムライン(スケジュール)、WBS、リソース計画、課題管理、品質管理、進捗管理基準、移行計画、クオリティゲート、テスト戦略、トレーニング計画、Go Live判定基準....と、きりが無いが、どれ一つとっても成功に導く大切な考え方だ。このようなプロジェクト管理フレームワークの導入はプロジェクト運営のお作法的な位置づけでその導入は前提事項と言えるだろう。


問題はプロジェクトメンバーの能力を引き出す努力をしているかどうか

現場感覚としてもっとも大切だと感じること、それはプロジェクトメンバーの参画意識の高まりとそれによる各自の力の発揮だ。つまり、メンバーそれぞれがどれだけ本気でこのプロジェクトに関与しようとしているかだ。


(実際のプロジェクトでは点数化されることはないが、)伝えたい事の例えとして、10名の関係者によってプロジェクトが構成されたとしよう。それぞれが10点の力を持っている。プロジェクトのGoalは最終的に100点を上回る総合力を発揮した場合にのみ達成されるとする。

(1)全員頑張るケース
100=10+10+10+10+10+10+10+10+10+10


(2)互いに補うケース
100=7+10+8+15+20+3+10+9+8+10

(3)スーパーマンがカバーするケース
100=50+3+3+3+5+7+10+8+6+5


(1)のケースがベストだが現実的ではない。(3)の場合は小規模か、超短期なプロジェクトならありえる。(2)が最も多く、それなりの規模で複雑さを兼ね備えたプロジェクトではこのケースが多い。


では、失敗するプロジェクトではどうか。
優秀なメンバーが揃っていたとしても、何らかの理由で最初から10点を出そうというドライブが働いていないように思える。つまり、こういうケースだ。

(4)そこそこ頑張るが失敗する
80=8+7+12+9+7+7+8+8+6+8


この(4)のケース、それぞれ頑張っているのだが、だれもが成功へのコミットが低い。全体を見て不足部分を補おうとするものがおらず、それに気がつかずに(あるいは気がついていても結果的に)放置されるとこうなる。


この不足点の20点は、時間であったり、成果物だったり、その品質だったり、「やる気」そのものであったりと様々なので、あえて抽象的に書いた。

まとめ

プロジェクトマネージャの仕事で最も大切なことは、Goalに到達させることだが、そのGoalを見据え、100を達成させるために全体的な観点から100点に届かないリスクを見極めるといったアプローチで、個々のメンバー/個々の能力発揮のパフォーマンスを最大化することではないか。プロジェクト管理手法などは、そのためのツールなので、適当に上手く当てはめて使えば良いのだ。

プロジェクトマネージャはプロジェクトメンバーの持てる力をそのプロジェクトに発揮させることに最大限の配慮をすべきだと思う。自分自身できていないことも多々あるので自戒を込めて。