感動の手紙に涙を見せた佐藤浩市

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 俳優の佐藤浩市が20日、丸の内ピカデリーで行われた映画『愛を積むひと』初日舞台あいさつに出席し、サプライズで読み上げられた妻からの手紙に涙を見せた。この日はほかに樋口可南子、北川景子、野村周平、杉咲花、吉田羊、柄本明、朝原雄三監督らも来場した。

 佐藤と樋口が夫婦役で初共演を果たした本作。最愛の妻に先だたれ、悲しみにくれる夫のもとに届いた“妻からの手紙”がモチーフの物語にちなみ、この日はサプライズで佐藤の妻がしたためた手紙を樋口が読み上げた。

 その手紙の書き出しは「浩市さん、心臓が飛び出るくらいビックリしていることと思います。すみません。わたしはこの作品を観るのが今日で3回目。きっとまた客席でまた号泣していると思います。もし自分が夫より先に旅立つことになったら。ふとそんなことを考えてしまいました」。

 さらに「結婚した当初、体があまり丈夫ではないわたしは、『自分が死んだらその保険金で好きな映画を作ってね』とあなたに言ったことがありました。もちろん当時はまだ若く、死という存在が遠くにありました」と続く内容に、涙をこらえていた佐藤は、耐えきれずに客席に背を向けて男泣き。それを見た樋口も「もう読めない!」と涙をぬぐう。

 それでも声をふりしぼり、「でも今のわたしは違います」と読み上げた樋口。「役者の仕事しかできない浩市さん。あなたを遺(のこ)して旅立つことは、家族はもちろん、事務所のマネジャーさん、映画関係のみなさんに、とてつもないご迷惑をおかけすることになり、それを思うと、とても先に逝くことなんてできません」という言葉に、会場からもすすり泣く音が。

 さらに「23年前に浩市さんからいただいた手紙にあった、僕は一生あなたの味方ですという言葉を忘れません。わたしの1番の味方は浩市さんです。だからどんな困難も乗り越えていけます」という手紙は、「わたしは、浩市さんをひとりにしないように。1日でも長く生きることを約束します」という言葉で締めくくられた。

 その後、「暑いから汗をかいた。まさかこんな姑息(こそく)なことを宣伝が考えるとは。不覚をとりました」と照れ笑いの佐藤は「文字ってまた違う気持ちの伝わり方があるんだなと思いました。ありがたいものだと思います」とコメント。その姿に、樋口だけでなく、北川らも涙を見せていた。(取材・文:壬生智裕)

映画『愛を積むひと』は全国公開中