15日、ライブドア事件について話すライブドアマーケティングの穂谷野新社長(撮影:吉川忠行)

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(「上」から)
── ライブドアマーケティング(LDM)株<4759>が上場廃止される懸念もあるが。

 今後の企業運営において非常に重要なことと認識している。経営諮問委員会でもかなり優先している。3月末に定時株主総会を予定しているので、それに向けて2月中にある程度の方向性を出したい。

── 「情報開示が不十分」と東京証券取引所は指摘しているが。

 開示しなければならないことは適時に行いたいが、地検に資料が押収されているので、なかなか正確な情報が流せない状況。急ぎながらも、しっかり適正な情報を流したい。

 IR体制についても、今後しっかりと動員していく。大企業に必要な体制なので、しっかりと体制を組んでいきたい。

── 外部から買収したいという要請はあるか。

 今のところはあまりない。ライブドア(LD)<4753>と一体の会社と思われているので。

── LDとの提携関係について、どのような協議をしているか。

 事業をどうしていくか、毎週、数回はLDの平松庚三社長や幹部としっかり話をしているが、資本関係についてはまだ具体的な話はしていない。

 資本の面は、是々非々で。お客様、株主がしっかりと残り、事業が継続できることに主眼を置いているので、その中で一番良い方法をとる。

 派遣されている役員についても今すぐどうこうということではないが、当然検討しなくてはいけない。

── 「ライブドア」ブランドを掲げた現社名の変更は考えているか。

 それも経営諮問委員会にかける。今月末には方針を決める。これだけ世の中に迷惑をかけたということもあるので、ブランドそのものが今後永続的に良いイメージでいることは難しい。

── 子会社のセシール<9937>との提携をどうするか。

 セシールの佐谷聡太社長との間で、一生懸命やっていこうと言っている。当然継続する。

 売却は今のところ考えていないが、対外的な情勢によっては判断を下すこともあるかもしれない。基本的には、今はない。

── セシール買収時にLDから300億円の資金を借り入れているが資金繰りは。

 5年後に返却することになっているので、それまでにしっかりと事業を立ち上げるしかないと思っている。今すぐに現金があるわけではないが、しっかりと考えたい。

── 今後の経営方針はいつごろ示すのか。

 タイミングが2度ある。3月の株主総会の議案に入れる項目が、今後の経営に影響してくる。それを1点目に考えている。今後、会社についての大きな流れについては、株主総会前に発表したいと個人的に思っている。

── LDグループの「錬金術」といわれる株式100分割や、株式交換などの手法についての見解は。

 株式100分割は今後ありえない。株のテクニックではなく、しっかり実業で利益を出していく会社にしていきたい。従来のようにスピードで決まるのではなく、多少時間はかかるが経営諮問委員会で適法か審査してもらい、しっかりとした形に即して実施していく。

── 旧バリュークリックジャパンが舞台となったマネーライフ社買収をめぐる一連の取引はいつ知ったか。

 まさか、そんなことがあったのか、と報道で後から知った。

── バリュー社取締役に就任した04年11月に、虚偽記載したとされる業績や、株式分割、マネーライフ社との株式交換期日の延期など、問題の発表が行われたが。

 マネーライフ社がわれわれとシナジー(相乗効果)のある会社ということだったので、逆に変なことがあってはいけないのでいろいろ調整していた覚えがある。良い意味で調整していた気がする。ちょっと記憶が定かではないが。

── その当時はどのような抱負を持っていたのか。

 顧客の利益が上がるようなプロモーション、インターネット広告が提供できればと思っていた。今でも真摯(しんし)に思っている。「虚業」とか言われているが、お客様と本当に一対一になって、日々やっている。

── 04年秋ごろ、前取締役の堀江被告から「黒字化しろ」とのプレッシャーは強かったのか。

 会社とはもともとそういうものなので、利益を上げることに対して当然、話はあった。

── 05年7月下旬に子会社化を発表した「ペーパーワークス」も、問題とされているLD傘下のEFC投資事業組合を通して株を取得している。発表日のLDM株価は急騰しているが。

 まだ点検はしていないが、問題はなかったと思っている。

── 株主へのメッセージは。

 今回の件でご迷惑をかけたことを厳粛に受け止めている。今後、法人向けのサービスを続けていくが、迷惑をかけた分を今後最大限取り返すようにやっていく。ただ時間はかかると思うが、真摯に一歩一歩やっていくので応援していただきたい。

◇穂谷野 智(ほやの・さとし) 1984年(昭59年)神奈川大工卒、富士ゼロックス入社。2000年4月にオン・ザ・エッヂ(現ライブドア)入社、01年10月執行役員上級副社長。03年3月イーエックスマーケティング取締役、04年11月バリュークリックジャパン(現ライブドアマーケティング)取締役。06年1月にライブドアマーケティング社長就任。神奈川県出身。43歳。【了】

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