写真提供:JR東日本

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 6月末に報道陣に初公開された新幹線の試験車両が、大きな注目を集めている。その名も「FASTECH360」というこの車両、なんと世界最速の360km/hで走るスーパー新幹線なのだ。

 さまざまな新技術を取り入れたこの試験車両は、東北新幹線 仙台〜北上間を中心に試運転を行っている。今年6月から2007年度にかけ、営業列車が走行しない夜間に週2回程度行われる。走行試験時の最高速度は、405km/hまで上げる見通しで、その走行性能や環境影響に対するデータを収集していく。

 気になる最新技術の方はというと・・・。走行速度を向上させるため、モーターやモーターを駆動させるための機器の小型高出力化をはじめ、高速でありながら安定した集電を行う性能を向上させている。さらにブレーキ距離を短縮することで、高速でありながら安全な走行が可能になる。また鉄道車両では初めて空気抵抗増加装置を搭載。地震など非常時に緊急停車する際には、半円形の板が屋根の上に開き、空気抵抗で急減速することができる。

 車体のカラーリングは、透明感を保ちながら深く翡翠色に輝く「先進の矢羽根」をイメージ。車体の上半分をイーストグリーン、下半分をパールホワイト、窓下にシルバーメタリックの帯が入った、クールで都会的な印象になっている。もちろん、乗り心地にも配慮していて、床・窓・壁などを遮音性の高い構造にし、さらに走行装置や電気機器の低騒音化にも力を入れている。また国内で初めて電磁アクチュエータ式の動揺防止装置を搭載し、快適な車内環境の実現に努めている。

 この車両の実用化については、まだ試運転段階のため未定な部分が多い。目下、データを集積、実用車両の開発に備えているといったところだ。実用化されたら、ぜひ世界最速の乗り心地を実感してみたい!(文/verb)