「視野を広げることで意識が変わる」と明学大生に話す佐谷恭記者(右奥 撮影:徳永裕介)

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ライブドア・ニュースの佐谷恭記者が14日、神奈川県横浜市の明治学院大学に講師として招かれ、「旅と平和」について学生約20人と語り合った。

 佐谷記者が招かれたのは国際学部の平山恵・助教授のゼミ。佐谷記者が英ブラッドフォード大学平和学部の大学院在学中に書いた「旅と平和」に関する論文を、2年生がゼミ選考の課題として読んだことが縁で、今回の開催になった。

 まず、佐谷記者は平和とは何かと問いかけ、「日本は現在、戦争はしていないが、自殺者が年3万人もいるなど、戦地とは違う危険がある」と指摘。一言に平和といっても、戦争がないだけの状態から貧困や差別など「構造的暴力」もない状態までさまざまなレベルがあることを説明した。その上で「停戦協定を結べるのは国家だけだが、お互いの融和をもたらすことができるのは草の根の交流だけ」と話し、手段としての旅の有用性を説明した。平和とは特定の状態のことではなくプロセスのことで、旅には人の意識をよい方向に向ける力があるという。

 学生からは「現地の人とコミュニケーションをとるためには、言語の壁があるのでは」「英語を話せない日本人が、現地の人と仲良くなるには」など、質問が相次いた。ユーラシア大陸を3度横断するなど世界を旅してきた佐谷記者は「接点を持つことで気付くことがある」と答え、「視野を広げることで意識が変わる。一人ひとりの動きが社会を変える」と学生にメッセージを送った。

 最後に佐谷記者は、放っておくと荒れてしまう森林に人の手を加えると環境が改善することを例に「地域社会も同じ。放っておくと荒れてしまうが、観光をてこにその地域のよい面がさらによくなるよう手入れができばいいと思う。この“手入れ”という言葉を(ノーベル平和賞を受賞した)マータイさんの“もったいない”に続く流行語にしたい」と締めくくった。【了】