1989年の坂本弁護士一家殺害と信者リンチ殺害の両事件で殺人罪に問われたオウム真理教(アーレフに改称)の元幹部、岡崎(宮前に改姓)一明被告(44)の上告審で、最高裁第1小法廷(島田仁郎裁判長)は7日、被告側の上告を棄却する判決を言い渡した。東京高裁の死刑判決が確定する。教団による一連の事件で、死刑判決を言い渡されて上告中の8人の中で、最高裁判決が下ったのは初めて。

 島田仁郎裁判長は「いずれも教団の組織防衛が目的で、冷酷、残忍である」と指摘した上で、「自首した事実をかんがみても、刑事責任は重大」と断じた。

 1、2審判決によると、岡崎被告は1989年11月、麻原彰晃(本名・松本智津夫)被告らと共謀し、坂本堤弁護士(当時33歳)宅に侵入して一家を殺害。また、同年2月には静岡県富士宮市の教団施設内で脱会しようとした信者(当時21歳)を殺した。

 判決を傍聴したジャーナリストの江川紹子さんは「警察がこれらの事件をきちんと捜査していれば松本・地下鉄サリン事件は起きなかった。これについて、警察の責任は示されていない。裁判でも責任の所在が明らかにされないまま、この日を迎えたのは残念」と述べた。【了】