2月の終わりとともに春がやってきますが、春は別れの季節でもあります。
間近に卒業式をひかえた学生さんは、いろいろな感情が入り混じった、心落ち着かない日々を過ごしていることでしょう。
卒業式で思い浮かぶ青春の一ページと言えば、「好きな人から第2ボタンをもらう」という風習がありますよね。一体この風習、いつからあったのでしょうか? そして、なぜ第2ボタンなのでしょうか? 知っているようで意外と知らない「卒業式の第2ボタン」の秘密を探ります。

いまどきの女子中高生の間でも「第2ボタン」は根強い人気だそう!


今も変わらず、女子中高生の半数が「第2ボタンもらいたい」

制服の第2ボタンなんて古いのでは?」などと思う方もいらっしゃるでしょうが、意外とそうでもないのです。
女子中高生を対象とした「卒業式に関する意識調査」※では、「卒業式の時、異性に記念にもらうとしたら何が欲しい?」という質問に対して、54%が「第2ボタン」と回答。
いまどきの女子中高生の間でも「第2ボタン」は根強い人気なのです。
おそらく、今の学生の親御さん世代でも、卒業式で第2ボタンをもらうという風習はあったと思いますが、一体いつから始まったのでしょうか?
※2013年1月/『GIRL'S TREND研究所』調べ


始まりは軍服の第2ボタン

第2ボタンを大切な人に渡すというルーツは、1960年に公開された『紺碧の空遠く』という映画のワンシーンからきています。戦時中、主人公は神風特攻隊に出撃が決まり、もう生きて帰ってくることはない、と誰もが心の中に悲しみにたたえながら物語は進みます。
特攻隊に志願した若き練習生は、好きな女の子には何かを渡しておきたいという思いから、出撃前に軍服の第2ボタンを引きちぎって渡します。軍服は国からの支給品、つまり天皇からの支給品です。第1ボタンをあげてしまうとだらしなく見えるので、彼女に託したのが第2ボタンだったのです。この感動的なシーンがもととなり、以降「卒業式の第2ボタン」が定着したといわれています。


5つのボタンに込められた意味

また、学ランのボタンは5つありますが、それぞれのボタンに込められた意味を調べたところ、
1番上のボタンは自分
2番目のボタンは一番大切な人
3番目のボタンは友人
4番目のボタンは家族
5番目のボタンは他人……という意味があるようです。


ヒット曲『春なのに』が火付け役

1983年に発売された柏原芳恵さんのヒット曲『春なのに』の歌詞も、当時の中高生の反響を呼びました。「記念にください ボタンをひとつ」という歌詞が曲の中に登場するのです。『春なのに』は悲しい失恋ソングですが、卒業式で第2ボタンをもらった学生の多くが、この曲に影響を受けたともいわれています。
ちなみに『春なのに』を作詞・作曲したのは中島みゆきさん。
『春なのに』は32年前のヒット曲(1983年発売)ですが、歌い継がれてきた名曲であることから、世代を問わず「♪春なのに お別れですか 春なのに 涙がこぼれます」をそらんじられる人も多いのではないでしょうか。
昨今の制服事情を見ると学ランは減ってきており、ブレザーの学校が増えてきているため、第2ボタンをもらうことは難しくなってきているといえます。逆の見方をすれば、だからこそ第2ボタンへの憧れは強いといえるのかもしれませんね。
とはいえ、今が「青春真っただ中!」という中学生、高校生にとって、卒業式での甘酸っぱい経験は生涯の思い出となるはず! ぜひがんばってほしいですね。