住民は語った。「ドーンという、ものすごい音がしましてね。そうしたら、何かが飛んで行くのが見えました」。工場従業員は語った。「休憩用のプレハブ小屋で寝ていたんですよ。いきなりドーンという音がして、壁が私に向って倒れてきたんですよ。無我夢中で這いだしました」――。青海省西寧市の郊外にあるクリーニング工場で13日朝、ボイラーが爆発した。高さ3メートル以上あるボイラー1基が「白煙」を残して、空のかなたへ飛んで行った。青海新聞網などが報じた。

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 住民は語った。「ドーンという、ものすごい音がしましてね。そうしたら、何かが飛んで行くのが見えました」。工場従業員は語った。「休憩用のプレハブ小屋で寝ていたんですよ。いきなりドーンという音がして、壁が私に向って倒れてきたんですよ。無我夢中で這いだしました」――。青海省西寧市の郊外にあるクリーニング工場で13日朝、ボイラーが爆発した。高さ3メートル以上あるボイラー1基が「白煙」を残して、空のかなたへ飛んで行った。青海新聞網などが報じた。

 飛んでいくボイラーを目撃した住民は、クリーニング工場から300-400メートル離れた場所の自宅にいた。証言を続けた。「川の向こうまで飛んで行って落ちたみたいです」。工場従業員は続けた。「くずれたプレハブ小屋から這い出して、ボイラーの爆発だとやっと分かりました」。

 工場に泊り込んでいたのは1人だけだった。崩れたプレハブ小屋から外にもがき出て驚いた。慣れ親しんだ職場が、思いもよらない姿になっていた。建物は全壊状態だった。壁は吹き飛んだ。傾きながらも一部分残っていた壁の上部から、ぐにゃりと曲がった金属製の屋根が、機械類の残骸にかぶさっていた。何本ものパイプが、ある部分では平行に、ある部分ではもつれ合い、奇妙な角度で床に垂れ下がっていた。

 ボイラーがどこに行ったのか、すぐには分からなかった。住民の証言から工場のそばを流れる南川河(なんせんか)を飛びこえた可能性があると考えられた。現場に駆けつけた記者は、川向うに行ってみた。

 南川河は西寧市の南西から同市に向って流れる川で、合流を繰り返して黄河に注ぎ込む。河川敷を含め場所によって川幅は数十メートルになる。最近では汚染が問題になっているが、西寧市付近では農業用水の供給減としても重要な河川だ。

 工場からみて南川河の対岸は林になっている。太い木が根元からへし折られていた。周囲の木がなぎ倒されていた。ボイラーを探してなぎ倒された木の間を進んだ。周囲には、ボイラーに付属していたとみられる煙突の残骸などが残されていた。

 あった。ボイラーはレンガで作られ、表面をセメントで固めた塀に食い込んでいた。大きな変電装置を収容する建物で、ボイラーは変電装置にぶつかって止まっていた。工場からは200メートル以上の距離がある。中国では、ボイラーが爆発して飛んでいく事故が時おり発生している。最初の爆発時に発生したエネルギーだけでボイラーが飛ばされるのではなく、ボイラー内に残っていた熱水や水蒸気をボイラー底部から吹き出しながら飛ぶ現象だ。これまでの事故でも「まるでロケットだった」といった証言が多く残されている。

 13日に発生したボイラーの爆発・飛行事故では、落下状況を伝えられた工場周辺の住民が、改めて恐怖に身を震わせた。工場周辺は民家が密集している。爆発の規模がもっと小さいなどでボイラーが民家に落下したら、大惨事になっていたに違いないという。

 対岸には、変電施設があるが人家はない。そこにボイラーが、突っ込むように落下した。青海省西寧市は中国北西部の内陸地帯だ。10月中旬にもなれば、最低気温はそろそろ摂氏0度以下になる。夏には背の高い草が生い茂るが、すでに緑は残っていない。ボイラーが食い込んだ変電施設の手前にある枯れ草が、風にあおられて乾いた音をたてた。

 同爆発で死傷者は出なかった。

写真はボイラー事故を伝える青海新聞網のページ。(編集担当:如月隼人)