ロイヤルズ・青木宣親【写真:田口有史】

「なぜみんなノリが好きなのか」

 青木宣親外野手の所属するロイヤルズが15日(日本時間16日)、本拠地でオリオールズとのア・リーグ優勝決定シリーズ第4戦に勝利。29年ぶりのリーグ優勝とワールドシリーズ進出を決めた。青木は試合後にダグアウトに上り、観客とハイタッチして喜びを分かち合った。

 シーズン後半になってから、青木は自身とチームの躍進により、喜びをあらわにする機会が増えた。そんな青木について、MLB公式HPとも提携する米メディア「スポーツ・オン・アース」は「なぜみんなノリが好きなのか」と題した記事を掲載。地区シリーズ第1戦での2つのスーパーキャッチ後に見せた表情を例に挙げ、青木の魅力を紹介している。

「彼のプレーの見どころの1つには、フィールドでの喜び様がある。2つのキャッチの後、彼はまるで生まれて初めてスーパーキャッチを決めたリトル・リーガーのように、溢れんばかりの笑顔でダグアウトに戻っていった」

 記事は他にもヤクルト時代のスーパーキャッチや、ブルワーズ時代の観客との交流にも触れたのち、「ノリ・アオキ、ずっと変わらないで」という言葉で締めくくられている。

 青木のこうした無邪気に感情を示す様はチームメイトからも好印象を持たれているようだ。ラスティ・クンツ外野守備コーチがロイヤルズ公式HP上に掲載されているファンマガジン「ベースボール・インサイダー」で語ったところによると、ダグアウトで交わすチームメイト同士の祝福に、青木は欠かせない存在になっているという。「みんなノリを慕って、彼に寄っていくんだ」。

痛みも喜びも全身で表現する青木

 また、青木をたびたび襲うハプニングは、ときに痛ましいながらも見る者のツボを刺激するようだ。

 ワールドシリーズ進出を決めた15日の試合、初回の打席で青木は右太ももに死球を受けた。避けようとして飛び上がりながらも相手先発ゴンザレスの速球を直に受け、苦痛に顔を歪めた写真が、MLB公式HPで取り上げられている。

 公式HPでは青木の写真を、ワイルドピッチやワイルドカードチームにひっかけて”wildest photo(とびきりヤバい写真)”と呼んで掲載。この死球がその後の得点と勝利につながった点を指摘しつつ、「ざっと3マイルは宙に跳ねた」とコミカルに表現している。

 スポーツ専門ブログネットワークの「SBネーション」には、痛みや不快を思い切り顔に出す青木のこれまでの写真がまとめて掲載されている。結びの文句はこちらも「ずっと変わらないで、ノリ・アオキ」となっている。

 これまでもたびたび死球の憂き目に合ってきた青木。ただ、かつては地元紙カンザスシティ・スターに「落胆と喜劇の連続」と揶揄されていた青木への評価も、シーズン終盤には同紙に「チームの未完成な美の象徴」と表現されるまでに変わった。

 チームの歴史的快挙や自身の活躍もさることながら、痛みも喜びも全身で表現する青木の姿が、チームやファン、メディアを惹きつけているのかもしれない。