安いケーブルは使えなくなる可能性大!100円均一ショップにiPhoneのLightningケーブルが並ばないワケ

写真拡大 (全3枚)

先日近所の100円均一ショップ(以下100均)に足を運び、乾電池を購入した際にたまたまスマートフォングッズコーナーを目にしたのだが、さまざまなケーブルが並んでおりびっくりさせられた。デジタルカメラ用ケーブルや、パソコン用USBケーブル、スマートフォン用microUSBケーブルにiPhone 4sで使えるDockコネクタUSBケーブルなでも販売されている。しかしながらちょっと違和感があった。

そう、iPhone 5以降のiPhoneiPadに採用されている、現在主流のLightning(ライトニング)ケーブルが無いのだ。
iPhone 5が発売されてすでに1年半が経っているため、時期としてはLightningケーブルが並んでいてもおかしくない。それでも100均にLightningケーブルが並ばないのにはワケがある。

●実は激安Lightningケーブルも存在する
Lightningケーブルは、それ自体の素材で高価な部品があるのだろうか?いやいや、そうではない。
インターネット通販では実に数十円からという激安とも言えるLightningケーブルも販売されており、安価な製品は存在するのである。

筆者も試しにひとつ購入してみた。
ケーブル本体は40円、送料40円、あわせて80円という100円よりもさらに安く手に入れることができた。


送料込み80円のLightningケーブル


見た目の形状は純正ケーブルとかわらず、iPhoneにも挿しこむことができた。さらに充電することもできた。一応、80円のケーブルでも使えたということになる。それではなぜ100均にLightningケーブルは並ばないのだろうか。

安全とリスクという問題があるのだ。

●認証されていないケーブルは今後使えなくなる可能性“大”
実は、アップルの純正、またはアップルが認証しているLightningケーブル製品にはアップル認証チップが内蔵されている。
この認証チップがあるかどうかで、今後iPhoneiPadがアップデートしてもケーブルを使うことができるようになっている。また、以前、純正ケーブル以外のケーブルで発火や漏電などの事故が発生したこともあり、現在、アップルは純正ケーブルおよび認証済みケーブル以外のLightningケーブルを挿すと、注意を促すメッセージが表示するようになっている。

実はこの純正品や正規認証されたケーブルには、認証チップ及び認証を得るためのコストがケーブル価格に反映されているのだ。
したがって、アップル認証を表す「Made for iPhone」(またはiPodiPadの併記もあり)がパッケージ記載されているLightningケーブルは、無印のLightningケーブルやAndroidスマートフォンにて採用されている「microUSBケーブル」と比較すると価格が割高となるというわけだ。


アップル正規認証を受けている製品パッケージには写真のような記載がある


さて一方、激安ケーブルには、このアップルの認証チップが搭載されていない。
なかには、何らかの方法で認証を回避している製品もある。つまり、今後、iPhoneなどOSがアップデートした場合、使えなくなる可能性は高いと言える。
また、安価な製品の品質に関しても、懸念点はある。パーツ純度が低ければ安いケーブルは作れるが、耐久性や安全性に不安もあるだろう。
事実、インターネット通販のユーザーレビューでも「数回使ったら使えなくなった」という声もあり、製品の品質も含めて、非認証製品が使えなくなるリスクは高いと思われる。

●激安Lightningケーブルはわかっている人向け
実は、送料込み80円のケーブルを紹介するページには「iOS7.1以降には対応していません」という注意書きがあった。
筆者のiPhone 5はiOS7.1.2なのだが、使えているため、使える本体と使えない本体が存在する可能性があるといくことだろう。問題なのは、その区別が残念ながら筆者にもわからないことだ。

つまり、激安ケーブルは何らかのリスクを承知の上で買う“リスク覚悟の上、わかっている人向け”ということになる。
多くの人が日常で手軽に使える安価な製品を買いに来る100均に、「利用上のリスクがある」「リスクを承知の上で買わなければいけない」といったケーブルは置くわけにはいかないのだろう。

今後、アップルの認証チップや認証を得るコストが下がれば100均などの安価な製品を扱う店舗にもLightningケーブルが並ぶ可能性はある。しかし、現状では、まだそうした保証された安価なLightningケーブルは存在していない。

安価なLightningケーブルは確かに魅力だが、リスクを考慮したら少し高くても認証マークのあるケーブルを購入する方が良いだろう。
激安ケーブルを見つけても、それは「安物買いの銭失い」になる可能性があるからだ。

※この記事によりアップル非認証Lightningケーブル購入、利用に伴い、機器に生じるいかなる損害についても、責任を負うものではありません。


布施 繁樹