ダイエットに運動は不可欠……わかっていても続かない人におすすめの新習慣とは?

やせ体質をめざすうえで欠かせないのが運動。20〜30代のうちは、筋肉や骨の衰えを感じにくいため、つい食事だけでダイエットしようと思いがちですが、実は骨量は20代をピークに減る一方。できるだけ若いうちに、骨量を上げておくことが大切なのです。


一方、筋肉は歳をとってからでも鍛えれば増やすことはできますが、これもまた20代をピークに減少する傾向があることに変わりはありません。運動しないダイエットばかりを続けていると、筋肉が減り続け、食事制限をしてもなかなかやせない体質になってしまうことに。
「運動しないダイエットは危険。外見はきれいでも、中はスカスカで問題の多い“偽装マンション”のような体になってしまいますよ」と、肥満予防健康管理士の細江啓太郎さんは警告します。そのツケは、30〜40代以降に一気にやってくるかもしれません。歳をとってから後悔しないよう、若いうちから運動習慣を身につけたいものです。

■食事制限だけのダイエットがもたらす悪影響……サルコペニア肥満って?

「一見スリムなのに体脂肪率が30%近くあるような、見た目とのギャップが大きい“隠れ肥満”の女性も増えています」(細江さん)
多くの場合、食事だけでやせようと無理なダイエットを繰り返したことがその原因。体重の増減を繰り返しながら、体脂肪と一緒に筋肉まで減らし、内臓脂肪の割合が増えているのだそうです。


また、なかなか運動を習慣にできない人が、将来気をつけたいのが、「サルコペニア肥満」です。「サルコ」はギリシャ語で筋肉、「ペニア」は低下という意味で、“筋肉量が低下して脂肪量が増えるタイプの肥満”のこと。筋肉量が22%(男性は27%)を切ると、糖尿病、高血圧、骨折、転倒、寝たきりなどのリスクが高まるといわれています。
サルコペニア肥満の怖いところは、自覚がないままに進行してしまうこと。筋肉量が減って基礎代謝が下がるため、普通の食事量でも、徐々に脂肪をため込みやすい体になっていくのです。

■体温を上げる細胞が集まる「肩甲骨」と、筋肉が衰えやすい「下半身」を意識しよう

そうはいっても、ジムに入会したけれど行かなくなった、ランニングを始めたものの3日坊主で終わってしまった……なんていう苦い経験をしたことはありませんか。「慣れないことを始めたり、ハードな運動に挑戦したりすると、失敗するケースが多いですね。普段の生活に無理なく取り込める軽い運動の方が長続きします」(細江さん)


特に運動不足の人に目立つのは、血のめぐりが悪いために体が冷えて、太ってしまうケース。そこでおすすめなのが、“褐色脂肪細胞を刺激するストレッチ”だそう。
「人間の体には、体内に蓄積された余分なカロリーを熱に代えて放出する“褐色脂肪細胞”が5カ所(首のまわり、肩甲骨のまわり、腋の下、心臓、腎臓のまわり)に分布しています。なかでもストレッチしやすい場所は、肩甲骨や首。ここを意識的に動かして、褐色脂肪細胞を刺激してみましょう。両手を頭の後ろで組み、両肘を前後にバタバタ動かすだけなら、オフィスや家ですぐにできます」(細江さん)


また、年齢とともに衰えやすいのが、下半身の筋肉です。脚を日常的に鍛えるクセをつけることで、体内の血のめぐりがよくなり、太りにくい体質になっていくそうです。
「例えば、つま先立ち。電車やバスでの通勤中、歯磨きをしている最中などに試してみてください。デスクワークが長い人は、座ったまま脚を組んで、上側のふくらはぎを下側の膝に押し当てるようにしてマッサージするといいですよ」(細江さん)

ストレッチやマッサージだって立派な運動。運動が苦手な人も、これくらいなら習慣にできそうですね。

(小川留奈)