米国務省は2月27日(現地時間)に発表した「2013国別人権報告書」で、嫌韓デモを正面から批判した。しかし、日本政府がなんら対策を取らないことについて韓国内で批判の声が上がっている。(イメージ写真提供:123RF)

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 米国務省は2月27日(現地時間)に発表した「国別人権報告書」2013年版の年次報告で、日本国内で発生しているヘイトスピーチ(Hate Speech・特定の人種や宗教に対する憎悪が混じった発言)に懸念を示した。複数の韓国メディアが報じた。

 米国務省の報告書は、「昨年、日本での極右団体による嫌韓デモで民族を侮辱する用語を用いてヘイトスピーチを行った」とするとともに、昨年6月16日に実施されたデモでは、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の会長をはじめとするデモ隊側4人が逮捕されたことを紹介。

 続けて、日本国籍を取得していない在日韓国人たちは、社会的差別に苦しんでおり、米国務省は「彼らは、日本に恒久的に住みながらも、政治的権利などの市民権行使の困難を経験している」と説明した。

 また報告書は、韓国人だけでなく中国、ブラジル、フィリピン系永住権者たちも、さまざまな差別に直面していると報告。「一部のホテルやレストランなどは、特定の外国人の立ち入りを拒んでいる」とも伝え、「日本政府が差別を禁止するための行動をとらないという批判を著名な非政府組織(NGO)から受けている」と付け加えた。

 一方、これらのデモについて日韓両政府が対策を講じないことについて韓国内で批判の声が上がっている。

 中央日報は、「外国人憎悪のデモを放置・傍観する日本」と題した論説を掲載。米国務省の報告書を紹介するとともに、日本で韓国人を苦しめていた嫌韓デモが国際人権問題に飛び火したという内容だ。

 これによると「嫌韓デモはますます頻繁になり激しくなっており、昨年の調査によると3年間に10倍以上に増えた」とされ、過去には「竹島(韓国名:独島)返還」などだったスローガンが、最近では明白な外国人への憎悪・嫌悪に広がっており、不買運動も行われているとした。日本政府は「合法的デモ」としてこれを放置していると批判。韓国政府も抗議をせずに何をしているのかとして、自国政府の対応についても不満を示している。

 また、最近の日本ではナチスの蛮行を告発した『アンネの日記』が図書館で毀損(きそん)される事件が起きたことを例に挙げ、日本社会の健全性が落ちていると指摘している。

 しかし最後に、これらの嫌韓デモに反対する活動があることにも触れ、日本の理性を信じられる存在であり幸いであると結んだ。(編集担当:李信恵)(イメージ写真提供:123RF)