「輪島は上手さもあったがパワーがあった。遠藤は相撲の上手さはある。幕内で戦うパワーをつければ、輪島と同じようになれる。“蔵前の星”と呼ばれた輪島のように、遠藤もニックネームがつくように頑張ってほしい」

 報道陣を前に日大相撲部の田中英寿総監督がこう語った。田中氏は日大相撲部時代、輪島の1年先輩で、タイトルを競い合った仲。それだけに、幕下付け出しからわずか3場所で新入幕を果たした遠藤(追手風部屋)について語る言葉には重みがあり、その期待の強さが窺える。
 「秋場所前に行われた稽古総見では、白鵬が遠藤を稽古相手に指名した。これは極めて異例のことです。白鵬がこの新鋭力士を将来、自分を脅かす強豪力士に成長すると見て取ったからこそ、指名したのでしょう」(相撲ジャーナリスト・中澤潔氏)

 結果は6番取って1勝5敗。当然ともいえるが、その1勝は力強い突き押しでの一番だった。
 「輪島が横綱になった時代には上位に強豪がゴロゴロいましたが、今の相撲界で遠藤の前に立ちはだかるのは白鵬以外にいません。遠藤は駆け引きも上手いし、勝負強さがある。近い将来、横綱が見えてくるはずです」(同)

 すでに、新入幕で横綱白鵬と対戦した豪栄道のように、白星を重ねて白鵬と対戦すると予想する向きもある。イケメンで思い切りがよく、人気が出る要素を兼ね備えた逸材。そんな遠藤に、相撲界も大きな期待を寄せる。
 「横綱に一番近いはずの稀勢の里は、確かに大関の務めは果たしているが、いまだに優勝経験がない。このままウロウロしていると、遠藤に置いていかれるかもしれません」(同)

 待望の“強い日本人力士”誕生となるのか。