精巣内で精子はつくられ、男性ホルモンのテストステロンを分泌する。精巣は男性の性生活の原動力といえる

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9月12日、タレントでナレーターなども務める坂上みきさんが6年もの不妊治療の末、第一子を出産した。不妊の多くが女性の問題だというイメージがあるが、WHO(世界保健機関)のデータによれば、その原因の半分近くは男性側にあるという。

そこで問題になるのが、精子を製造し、勃起するのに重要な男性ホルモン「テストステロン」を分泌する精巣の健康状態。精巣は下腹部にある陰のうの中に入っているが、男性不妊治療やED治療など泌尿器科全般を診療する恵比寿つじクリニックの辻祐治院長によると、見た目や触り心地である程度、精巣の健康状態を判断できるという。

まずはサイズ。精巣は平均的に直径4cmから5cmの卵形だが、極端に大きかったりすると精巣腫瘍という病気の可能性がある。それはいったいどんな病気なのか。

「精巣内に硬いシコリができます。これは指で触ればわかります。しかしそのシコリに痛みがないとかなりマズいです。腫瘍が増大して、赤ちゃんの頭くらいの大きさになることもあります。小さくても進行が早くて、あっという間にほかの臓器に転移することも多く、かなりヤバいです」(辻院長)

ほかにも、男性不妊にかかわる病気があるという。

「精巣の上の部分が腫れていたり、痛みがある場合は精索静脈瘤という病気の可能性もあります。精巣の静脈におなかから血液が逆流し、コブ状に膨れる病気です。これにかかるとおなかから逆流した血液によって精巣が温められ、精子の生産量やその動きに悪影響を及ぼし、男性不妊の原因になる場合もあります」(辻院長)

こういった病気にかかっていないかを確かめ、精巣の健康を保つためのセルフチェック法を辻院長に聞いた。

「精巣にシコリがないか、大きな変化がないか、最低でも月イチで触ってチェックすることをオススメします。精巣の上部から全体を指先で優しく触れましょう。あまり強く握りすぎちゃダメですよ」

精巣は、いろいろな意味で大切な器官のひとつ。男として豊かな生活を送るために、精巣の健康管理からしっかり始めよう。

(取材・文/河合桃子、撮影/五十嵐和博)