U-20女子ワールドカップが日本で開催されている。「ヤングなでしこ」と愛称のつけられた日本の試合は、ゴールデンタイムに地上波で生中継され、世間の関心を集めている。U-20、それも女子の試合が生中継されるとは、まさになでしこフィーバーここに極まれりといった感じで、一昔前では考えられなかったことだね。

ただ、その扱われ方を見ていると、しょうがないのかもしれないが、テレビ局にとっては新たな視聴率のネタ、新しいバラエティコンテンツといった見せ方で、文化としての定着という面ではまだまだだ。視聴率はそこそこだけど、お客さんがあまり入っていないのも残念だね。
 
彼女たちのプレー内容、試合内容については、評価をするのはまだ早い。U-20の彼女たちがなでしこリーグの中でどれだけ存在感を発揮できるか。アイドル的に祭り上げるのは、それを待ってからじゃないかな。

もちろん、可能性という面では十分に感じさせる選手たちばかりだ。ただ、やはりお姉さんに当たるなでしこジャパンとはクオリティの面で差がある。それだけなでしこジャパンのレベルが上がっているという言い方もできるかもしれないね。

一昔前の女子サッカーは、率直な言い方をすれば世間から無視されてきた。それが2011年のW杯で優勝したことにより一気に世間の注目を浴び、彼女たちもそれに応えようと、驕らず、ひたむきにレベルアップを図ってきた。注目を浴びるようになったことと同時に、女子サッカーの中で「基準」、「ハードル」が上がったことが、女子サッカー界にとって最も重要なことのように思う。

ヤングなでしこの選手たちも、お客さんや世間に観られる歓びを感じながらプレーしている。それが画面を通してひしひしと伝わってくる。その中で、世間が求める基準、そして彼女たち自身が自分たちに求める基準も高くなっている。これは素晴らしいことだね。

フィーバー状態の中でも驕らず、ロンドン五輪の銀メダル獲得で真の実力を証明したお姉さんたちのように、ヤングなでしこたちも、このフィーバー状態が求める基準を超えていってほしいね。