ユヴェントスのサポーターがMFアルトゥーロ・ビダルを称えている一方で、母国チリでも同選手は新たな「クラック」として扱われている。アントニオ・コンテ監督の戦術における主役として、スクデットを獲得するなど素晴らしいシーズンを送ったビダルは、チリのサポーターをも興奮させているのだ。

チリのファンは、2014年のブラジル・ワールドカップ(W杯)に向け、世界レベルのフオリクラッセとなったビダルが、バルセロナFWアレクシス・サンチェス以上に期待できると思っているのだ。それは、『テルセラ』のアンケートが明かしている。サポーター、監督、関係者を対象としたアンケートで、ビダルの人気がサンチェスのそれを上回ったのである。

バルセロナ移籍1年目で、負傷にも苦しんだサンチェスだが、そのユニフォームにふさわしいレベルであることを示した。15ゴールをマークしており、これはウディネーゼでのラストシーズンと同じ記録だ。だが、「アーサー王」のシーズンに及ぶ者はいないのである。彼こそ、現時点でのチリのベストプレーヤーなのだ。

2007年にカナダで行われたU-20代表のW杯で、ビダルとサンチェスを指導したホセ・スランタイ監督は、次のように話している。

「彼らに世界レベルの選手になるポテンシャルがあることは分かっていた。ファンタスティックな選手たちなんだ。だが、今はビダルの方が一つ上だと思う。チームにおける重要度、試合でのインパクトは、確実に上だ。今の彼がサンチェスより完成され、より成熟した選手なのは疑いない」

1974年から76年まで3年連続で南米最優秀選手に選出されたエリアス・フィゲロア氏も、このように語った。

「ビダルは最高のシーズンを過ごした。サンチェスがバルセロナでやったのを上回るね。彼も良かったのだが、ビダルの方がコンスタントだった。常に決定的だったんだ。今の彼が成熟した選手であり、自信を持っていて、何よりも完成された選手になったことは疑いない。スピードとパワーがあり、戦士でもある彼は、中盤の巨人だよ。だが、守備においてもやるべきことをやれる」

スランタイ氏は「彼はまだ伸びる。今のように真面目に、粘り強く続ければ、世界のトップ10に入ることができる」と、ビダルがさらに成長すると話している。

かつて子どものころ、コロコロの練習に自転車で通っていたビダルを知るウーゴ・ゴンサレス氏も、そう確信しているようだ。

「私はずっと彼を信じていた。彼のような強い意欲を持ち、熱心で、成し遂げたいと強く願う子は、これまでそうそう見なかったからね」

スクデットを獲得したとき、まだドレッシングルームにいたビダルが最初に電話で連絡した人の一人が、ゴンサレス氏だった。