金本知憲「永久欠番」の愚|野球史

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本当の話だろうか、耳を疑う。金本の永久欠番が内定しているとのことだ。阪神で1000試合以上出場している選手のリスト。この報を聞いてから作ったので、抜けがあるかもしれませんが。No.は現役時代に最も長くつけた背番号。えんじ色太字は永久欠番。赤字は各部門の1位。

金本知憲通算成績はこちら





「歴代でも安打、打点、得点、二塁打など、数々の通算成績で阪神球団の最多記録を更新している」と報道されているが、阪神で9年しかプレーしていない金本が、そんなわけがない。

阪神ファンならずとも知っている通り、阪神歴代1位の安打数は藤田平、本塁打、打点は掛布雅之、1000試合以上の通算打率は藤村富美男。金本は本塁打、打点で5位につけているが、年数が浅すぎて届くはずもない。
それ以上に問題なのは、阪神の背番号「6」といえば金本の前に、偉大な選手が2人もいることだ。藤田平と、来季から采配をとる和田豊だ。彼らが刻み込んできた数字、活躍の歴史を無視して金本一人の永久欠番にするのは、あまりにも理不尽すぎる。

金本と藤田平、あるいはこれに和田を加えて永久欠番にするのならわかるが。金本が単独で永久欠番となるためには、巨人の長嶋茂雄とその前の背番号3、千葉茂くらいのはっきりした数字の開きが必要だろう。

また、金本を永久欠番にするのなら、せめて掛布は同じ扱いにすべきだ。貢献度においてはるかに勝っているのだから。

さらに言えば、金本は広島東洋カープでも立派な成績を残している。

金本知憲 広島東洋カープ時代の成績はこちら





もちろん、広島での年数も11年に過ぎないから永久欠番は無理だが、広島での活躍を無視して、阪神の成績だけで永久欠番にするのは理解に苦しむ。

結局のところ、阪神球団は金本に引導を渡したいが、それをなかなかストレートに言えないために、もってまわった表現で「もうお引き取り願いたい」と言っているのではないか。
昔から、阪神球団という会社は、目先の利益に固執するあまり、あまり深く考えないで動くことが多い。

金本知憲は、広島と阪神でいずれも4000打数を超え、すばらしい成績を残している。NPBの並みの強打者2人分の活躍をしてきたのだ。当然、称賛されるべきなのだが、ここ数年の阪神球団の「ひいきの引き倒し」的な待遇で、どんどんイメージが悪くなっている。晩節を汚すとはこのことだ。

力量が衰えた選手は、黙って後進に道を譲るのが勝負の世界だ。ここまで球団に馬鹿な気を遣わせていることを、そろそろ金本は察するべきだと思う。