GK:川島永嗣

 → 韓国も20本のシュートを放ったが、ほとんどが枠外で、枠内シュートは4本だけだったため、GK川島の見せ場は多くなかった。ベルギーのリールセで2年目を迎えているが、海外リーグを経験して、プレー中に精神的な余裕のようなものが感じられるようになった。余裕を出し過ぎて危ないシーンを招くこともあるが、川崎Fの頃と比べるとW杯も経験し、何事にも動じなくなった。日本代表では完全にレギュラーを確保しており、もう少し大きなリーグに挑戦してほしい気もするが、出場機会を失うリスクはフィールドプレーヤーよりもはるかに高いので、難しいところである。


DF:駒野友一(後半11分 out)

 → 昨年10月のアウェーの韓国戦で負傷し長期離脱となった。そのため、キャリアのハイライトになるはずだった古巣のサンフレッチェ広島とのナビスコカップ決勝にも出場できず、1月のアジアカップのメンバーにも選ばれなかった。年齢を考えると「これで代表でのキャリアは終わりか。」と思われていたが、Jリーグで好調を維持して、見事に復帰を果たした。ザッケローニ監督は、積極的に世代交代を推し進めてきたので、DF中澤、DF闘莉王、MF中村憲といった実力者が代表から外れているが、今回のDF駒野の再招集とスタメン抜擢は、彼らにもモチベーションとなるだろう。アジアカップでは、右サイドバックにDF伊野波、左サイドバックにDF今野を起用した試合もあったが、やはりスペシャリストが控えていると心強い。DF駒野の復帰で日本代表の選手層は厚みを増した。


DF:槙野智章(後半11分 in)

 → 移籍先のケルンでほとんど出場機会を得ることができず、試合勘不足が心配されたが、大きな問題はなかった。広島ではずっと3バックのストッパーだったので、サイドバックの経験はほとんどないが、プレーが丁寧になった印象を受けた。左サイドバックはDF長友が絶対的な存在で、DF駒野も戻ってきたので、DF槙野にとっては、今後もメンバーに残れるかどうか大事な試合でテストの場だったが、及第点といえる


DF:今野泰幸

 → DFの中心として完全に地位を確立した。さすがに196?のFWキム・シンウクには苦戦したが、高さ勝負以外では、ほとんど負けることはない。欲を言うと、リーダーとして、もっとチームを引っ張っていく姿を見せてくれるとチームは助かるのではないかと思う。性格的にはリーダー向きではないと思うが、実力・実績とも、リーダーにふさわしいものがある。


DF:内田篤人

 → シャルケではポジションを失っているが、プレーは錆びついていなかった。スタミナ面の不安はあったが、最後まで運動量も落ちなかった。イキイキし始めたのは、MF清武が入ってきてからで、MF清武とのプレーは初めてとは思えないほどで、右サイドで連携が取れていた。この試合のハイライトは、後半26分のポストに当てたシュートで、これが決まっていたら、大変なことになっていたが、FW李忠成のパスに反応して、韓国のDFをぶっちぎったスピードは見事だった。ボールを失わないように、相手をブロックしつつ、相手から、遠い左足でボールをコントロールしてシュートに持っていく高い技術も光った。


DF:吉田麻也

 → 試合中に、何度か集中力が切れてしまうのは難点で、この試合でも危ないシーンがあった。しかし、ザッケローニ監督は我慢して起用し続けていて、最初の頃と比べると、落ち着きも出てきた。現時点での実力では、DF闘莉王やDF中澤に及ばないのは明らかであるが、「育てる。」と割り切って使い続けている点は好感が持てる。これも、勝ち続けているからこそできる選手起用なので、攻撃陣にも感謝である。もちろん、引き続いて、代わりになれるような存在を探し続ける必要があるが、これだけの高さがあって、パスも出せる選手は、今のところ、他にはおらず、得がたい才能を持っている選手である。いざとなったら、ザッケローニ監督もベテランを呼ぶだろうが、観ている側も、しばらくは我慢する必要はある。