中国の原油備蓄わずか10日分、中東情勢に緊迫
中国エネルギー問題が専門の全国人民代表大会財政経済委員会委員を務める陳耕・中国石油天然気集団(中石油)元総経理は、「国家のエネルギー備蓄不足は深刻な局面に陥っている。戦略的な石油備蓄は僅か半月分と、国際基準の20%にも満たない。アフリカ・中東地域の騒乱が半年続けば、中国にとって最大の危機が到来する恐れがある」と明かした。香港・明報が報じた。
中国の石油は、国内需要があまりにも大きいため、輸入依存度はかなり高い。昨年の国内石油消費量は4億6千万トン、うち55%にあたる2億6千トンが輸入された。石油需要は今後さらに高まり、2020年には6億トンに達し、輸入量は年3千万トンのペースで増加すると予想される。このような見通しの中、アフリカ・中東情勢が中国の石油輸入に及ぼす影響が、最大の懸念事項となっている。
世界の石油供給は、過去10年間、「地域的に供給が需要に追いつかない」状況が続いた。今後10年間もこの状況が続くと予想される。産油国の政情不安により、原油価格が跳ね上がることは十分起こり得る。中国がこのまま輸入依存による石油供給を続けた場合、過去に例を見ないほどの破滅的なダメージがもたらされるのは確実だ。
中国の石油備蓄量は、10日〜15日分の1200万トンしかなく、国際基準の20%にも満たない。国際基準目標の3カ月分をクリアするためには、6000万トンの備蓄が必要だ。石油備蓄の確保は、この15年間、政府にとって最も切迫した問題のひとつとなっている。外交部は、各産油国に対し、政治的安定の早期回復を早急に促す必要がある。
政府は、緊迫した石油備蓄局面を緩和するために、「徹底的な節約、国内資源の採掘強化、海外石油資源の開拓、代替エネルギーの発展、備蓄システムの構築」の五大措置を講じるべきだという。(編集担当:松本夏穂)
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